霊感探偵×伊右衛門ラブ!! 〜 一念天に通ずの巻 〜

作:だいふく・早川ふう / 所要時間 45分 / 比率 3:1

利用規約はこちら。コラボレーション台本についての項目が適用されます。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2020.01.02
Twitterのハッシュタグから生まれただいふくさんの台本「霊感探偵」と拙作「伊右衛門ラブ!!」のコラボレーション台本。


【登場人物紹介】
探偵
  本名「如月 雄介」
  幽霊事件を中心に取り扱う、「如月探偵事務所」の所長兼探偵。
  霊的な物質に触れることで、過去を見る能力「サイコメトリー」の使い手。
  基本的にはやる気がなく、偉そうな口調で話す。
  28歳だが、好きな女性のストライクゾーンが、9歳〜16歳という極度のロリコンド変態。

助手
  苗字のみが「佐藤」と判明している26歳の女性。
  エアガンを常備しており、危険人物である如月に銃弾制裁をし、
  奇行を抑え込むツッコミ役。怒ると口調がドンドン荒くなっていく。

新田伊右衛門
  成仏できない侍の幽霊。享年29歳。一人称は某(それがし)。
  街を彷徨っていた時に居酒屋の常連客の美由紀と出会い、
  成仏できるまで居酒屋で働くことになった。

店主
  居酒屋の店主。外見はお父さんといった雰囲気の初老男性なので、
  常連客からは、おじちゃん、お父さん、大将などと呼ばれる。
  名前が渋沢雄二郎なので、伊右衛門からは雄二郎殿と呼ばれている。

千賀子
  街を彷徨う女性の幽霊。
  夜な夜な出くわす男性を追いかけているが、
  普段はおしとやかないいところのお嬢様みたいな感じ。

【配役表】

探偵・・・
助手/千賀子・・・
伊右衛門・・・
店主・・・





[如月探偵事務所]

探偵  :「幽霊騒ぎ?」

助手  :「そうです、この前先生がパチンコ行ってる間に、私が依頼を受けておきました」

探偵  :「君はいつもそうやって勝手に!」

助手  :「勝手? 先生が事務所抜け出してサボってばっかりいるからでしょうが!
      小学生に声かけて警察沙汰になりかけたのもう忘れたんですか!?」

探偵  :「……さて。依頼内容を詳しく聞こうか」

助手  :「先生、私一生忘れませんからね」

探偵  :「執念深い女はモテないぞ」

助手  :「何か言いました?」

探偵  :「依頼!! 依頼の内容の説明だ佐藤くん!!」

助手  :「まったくもう……。
      依頼人は、とあるビルのオーナーさんなんですが、
      どうやらそのビルの近くに幽霊が居着いてるみたいで、
      女性には無害らしいんですけど、男性のことはすごい勢いで追いかけてくるんですって」

探偵  :「ん? 特定の男を追いかけているのか?」

助手  :「いえ、男性なら誰でも追いかけられてるみたいな話でしたね」

探偵  :「ということは、男という存在に恨みを持つ女の幽霊か……女を取られた男という線もありそうだ」

助手  :「お、やる気になってますね!? では、早速作戦会議を開きましょうか!!」

探偵  :「作戦会議?」

助手  :「そのビルの近くに、私の行きつけのお店があるので、よかったらそこで」

探偵  :「この僕を誘うということはその店には超絶可愛いロリッ子メイドが」

助手  :「(途中で遮って)んなわけあるか! いいから行きますよほら準備して!」

探偵  :「助手のくせに探偵使いが荒いなァ」

助手  :「あ、今日の代金は事務所の名前で領収書切りますから〜」

探偵  :「……ちゃっかりしてやがる」

助手  :(N)「ここは幽霊事件を専門に扱う、如月探偵事務所。
         さっきのいい加減な人は、如月雄介といって
         極度のロリコンの超危険人物ではあるんだけど、
         霊的な物質に触れ過去を見る力「サイコメトリー」で、数々の幽霊事件を解決してきてる凄腕の探偵。
         そして私は、その助手の佐藤といいます。
         今回のご依頼も、頑張っていきましょう!」

(間)

[居酒屋]

店主  :「伊右衛門さん、そろそろ暖簾を出しておくれ」

伊右衛門:「おーけー牧場でござる!」

伊右衛門:(N)「某が死して身体を失ってから何百年経ったでござろうか。
         幽霊となった某は、縁あってこちらの居酒屋にて御役目を頂戴することに相成った。
         彷徨っていた某を救い、受け入れてくれた美由紀殿や、
         この居酒屋の御店主、雄二郎殿の御厚意に報いる為、
         草木も眠る丑三つ時、よりもだいぶ早い夕暮れ時、
         今日も某は働き始めるのでござる」

店主  :「伊右衛門さん、ちょっと煮物の塩梅を見てくれるかね」

伊右衛門:「味も染みて……まこと美味でござる!」

店主  :「それはよかった」

伊右衛門:「おっと、そうだ。御役目中はさいれんともーどにしておかなければ」

店主  :「ああ、iPadの……それ美由紀ちゃんからもらったんだろう?」

伊右衛門:「某には過ぎた道具故、最初はお断りしたのでござるが、使っていないから是非にと言われて……」

店主  :「じゃあ、美由紀ちゃんと連絡もとれてるのかい?」

伊右衛門:「めぇるでやりとりをしているでござる!」

店主  :「そうかい。わたしはそういうのがどうにも苦手でねぇ……」

伊右衛門:「楽しいでござるよ! 特にふぉとぐらふぃーは素晴らしいでござる!」

店主  :「カメラかね?」

伊右衛門:「二百年前は何時間もかけて一枚を撮影したものでござるが、
      今は画面に触るとすぐ撮影できて、でこったりもできるのでござる!」

店主  :「ははは、伊右衛門さんすっかりハマって、よく写真を撮ってるよねぇ」

伊右衛門:「美由紀殿に教えられた、いんすた、というものを始めてみたら、楽しくなってしまって……」

店主  :「そんなもんまでやってんのかい」

伊右衛門:「ぶろぐもやってるでござる!」

店主  :「はぁ……すごいねぇ……」

〔助手、探偵と一緒にお店に入ってくる〕

助手  :「こんばんわあ」

店主  :「いらっしゃい」

探偵  :「(ぼそっと)なんだこのボロい店は」

助手  :「(小声で)失礼なこと言わないでくださいっ、ここの料理は最高なんですから!
      大将、お久しぶりですねえ」

店主  :「久しぶりだねえ。お連れさんは……もしかして嬢ちゃんのいい人かい?」

助手  :「違います!! 職場の人で……前愚痴を聞いてもらったアレです、アレ」

探偵  :「人をアレとは何だアレとは!」

店主  :「ということは、お連れさん探偵さんかい。
      大変なお仕事でしょう、どうぞゆっくりしていってくださいね。
      何を飲まれますか?」

探偵  :「僕は生で」

助手  :「私はレモンサワーをお願いします」

店主  :「はいよ。伊右衛門さん、レモンサワー頼むよ」

伊右衛門:「わかりもうした!」

助手  :「大将、新しい店員さん雇ったんですか?」

店主  :「ああ……まぁね」

探偵  :「着物にちょんまげでレモンを絞るってすごい絵だな」

助手  :「本当だ……、変わった人ですね……」

店主  :「ははは、でもいい子なんだよ」

探偵  :「可愛いJKの店員とかだったら良かったのにな……」

助手  :「また失礼なこと言って! お前はちょっと礼儀というものを知れ!!」

店主  :「ははは、息ぴったりのようだねぇ」

助手  :「とんでもない、いつもこんな調子だから、イライラさせられっぱなしなんです!」

探偵  :「それはこっちの台詞だ!」

店主  :「はいはい、喧嘩しないで。生ビールと、お通しの切り干し大根をどうぞ」

探偵  :「あ、どうも」

伊右衛門:「お待たせいたした、れもんさわーでござる」

助手  :「あ、はーい」

伊右衛門:「ごっごゆっくりっ……して、くだされっ」

店主  :「少しずつ慣れてきたじゃないか伊右衛門さん、その調子だよ」

伊右衛門:「いやいや……」

探偵  :「……もっくんのコスプレにしてはちょっとクオリティ低すぎだろう」

伊右衛門:「こすぷれ?」

助手  :「と、とりあえず乾杯しましょう! 今日もお疲れさまでした、かんぱーいっ」

探偵  :「おう、かんぱーい」

助手  :「(飲んで一息ついて)ねえ大将、この店員さんのお名前、伊右衛門さんって言いました?」

店主  :「そうだよ」

助手  :「それ本名ですか?」

伊右衛門:「いかにも。某、新田伊右衛門、直参(じきさん)でござる」

探偵  :「じ、じきさん?」

伊右衛門:「あっ、元! 元、直参でござる!」

助手  :「はぁ……」

探偵  :「伊右衛門さんは、地元の人なの?
      もっくんは確か埼玉生まれだったよね〜」

伊右衛門:「某、生まれも育ちも江戸でござるっ」

店主  :「東京ね、東京」

伊右衛門:「そ、そうでござった! とうきょうでござるっ」

探偵  :「ああ……そう……」

助手  :「お、面白い人じゃないですか……ははは」

伊右衛門:「面白い? ……某、やはり変でござるか?」

店主  :「伊右衛門さん、まだお二人は、伊右衛門さんの事情をご存知ないから仕方がないさ」

伊右衛門:「申し訳ござらぬ。
      某、現代の言葉遣いにはどうしても慣れぬ故、
      客人である御二方に、御不快な思いをさせたのであれば……」

探偵  :「いい加減にしてくれっ!!
      ったくなんなんだよ、店は古臭いし、店員はこんなだし!
      あーーもうっっ、やる気なくしたーー!!」
      
助手  :「ちょっと先生やめてくださいっ」

探偵  :「佐藤くんも、こんな店が行きつけだなんて、頭がおかしいとしか思えないね!!」

助手  :「なっ……黙って聞いてればいい気になってぇ!!!」

(助手、エアガンを構える)

探偵  :「あ! 君はまたそうやって、すぐにエアガンを人に向ける!」

助手  :「お前みたいな馬鹿には天誅だ! 覚悟!」

探偵  :「ぎゃああ!」

(探偵に弾が当たり、流れ弾が伊右衛門にも当たってしまう)

伊右衛門:「ややっ!?」

助手  :「わ、伊右衛門さんにぶつかっちゃ……え?」

探偵  :「だっから、あれほど人に向けるなと……は?」

伊右衛門:「あ…………」

店主  :「お二人さん、ごめんなさいね。伊右衛門さんはちょっと首が落ちやすいもんだから。
      ははは、こりゃ傑作だね。
      生首がまるで肴のようにちょうどよく器に収まるなんて」

探偵  :「いや、え? 首が落ちて、僕らのお通しの上に……」

店主  :「今、替えをお持ちしますから」

助手  :「そうじゃなくて大将!!
      首が落ちちゃったんですよ!? どうしてそんな冷静なんですか!」

探偵  :「きみい! だからあれほど人に向けるなと……」

助手  :「やっぱ私のせいですか!? ええええ!?」

伊右衛門:「驚かせてしまって申し訳ござらぬ……」

探偵  :「うわ! しゃべった!!」

助手  :「胴体の方はお辞儀してる!!」

店主  :「はい、こちら替えの切り干し大根と、おまけの玉子焼き。
      伊右衛門さん、はい首ちゃんとつけて」

伊右衛門:「むむ……(首をつける)」

助手  :「ど、どういうことですかこれ」

伊右衛門:「あー、某はそのー、成仏できずにこの世を彷徨い続けて三百年……
      今はこの居酒屋で働かせていただいており申すが、つまりは所謂幽霊というやつなのでござる」

探偵  :「なーんだ幽霊か。よかったじゃないか佐藤くん」

伊右衛門:「え。驚かないのでござるか?」

助手  :「うちの探偵事務所は、幽霊事件を専門に扱ってるんです。
      だから幽霊なら納得っていうか……
      ほんと前科持ちにならなくてほっとしました」

店主  :「幽霊事件を専門にとは……こりゃあちょうどいいじゃないか」

助手  :「ちょうどいい?」

店主  :「お二人に頼めば、伊右衛門さんが成仏できる道が見つかるんじゃないかと思ってね」

探偵  :「なるほど。まぁ僕にとっては難しいことじゃないね」

伊右衛門:「な、なんと! で、では是非にご依頼を!!」

探偵  :「嫌だよ、こんな変な侍からの依頼なんて……」

助手  :「では料金のお話をさせていただきますね」

探偵  :「え、おい! 佐藤くん!」

伊右衛門:「某が、ここで働いて得た金子を、全て差し上げるでござる。
      それでなんとかお引き受け願えればと……」

助手  :「いいでしょう、お受けいたします」

探偵  :「ちょっと勝手に決めるなって!」

助手  :「じゃあ、今月の家賃。どうやって払うんです?
      先生がサボり倒して仕事しないから、もうすぐ電気まで止まりそうなんですよ?」

探偵  :「謹んでお引き受けイタシマス……」

助手  :「よろしい」

店主  :「よかったねぇ伊右衛門さん」

伊右衛門:「かたじけないっ……」

助手  :「ところで、伊右衛門さんは、地縛霊ってわけでもなさそうですけど……。
      成仏できない理由って何なんですか?」

伊右衛門:「某は、妻を病で亡くしたことで医者を逆恨みし、
      往来で刃傷沙汰を起こした故、妻の位牌を前に自刃して果てた身でござるが……
      ……何が成仏できぬ直接の所以となっているのかは、とんとわからぬのでござるよ」

店主  :「こっちでも手を尽くしたというか……
      亡くなった奥さんに会いたいって気持ちで何とか成仏できないかと思ったんだけど、できなくてねぇ」

伊右衛門:「某の罪はまだ赦されていないのでござろう……」

店主  :「禊が必要ということかねぇ……」

探偵  :「禊か……。
      以前、死刑になった男が成仏できなかったという事件を手がけたことがある。
      その時の幽霊は、他の幽霊を助けたことで成仏したんだ」

助手  :「他の幽霊を?」

店主  :「それが、禊となったのかい?」

探偵  :「多分ね」

伊右衛門:「某が、他の幽霊を、助ける……」

店主  :「そうは言っても、そう簡単に困っている幽霊に出会うなんて難しいだろう?」

伊右衛門:「某、他の幽霊と出くわしたことなどただの一度も……」

助手  :「あっ、それなら本当にちょうどいいかもしれません」

探偵  :「ああそうだ、それでここに来たんだっけ」

助手  :「実は私達、この近くで幽霊騒ぎが起きてるって聞いて来たんですよ」

店主  :「幽霊騒ぎ?」

助手  :「女性の幽霊が、男の人を追いかけてくるって話、聞いたことないですか?」

店主  :「追いかけてくる……かはわからないけど、
      着物姿の女性をよく見かけるって話は聞いたような気がするねえ」

探偵  :「女性!?」

伊右衛門:「確か常連の方がそう言っておられたかと。某にも聞き覚えがあり申す」

探偵  :「ちなみに何歳くらいの女性かってのは話に出たかな?」

伊右衛門:「確か、高校生の娘より小さいくらいだと言っておられたが、何歳かまでは……」

探偵  :「いいね、ぎりぎりストライクゾーン!!」

助手  :「ちょっと!! す、すみません、気にしないでください」

伊右衛門:「す、すとらいく……?」

店主  :「いいんだよ伊右衛門さん、これは覚えておかなくていい。
      見ざる聞かざる、この商売には大切なことだよ」

伊右衛門:「ふ、深いでござるな」

店主  :「しかし、その幽霊のことを、伊右衛門さんが都合よく助けるなんて展開になるかねえ?
      難しいんじゃないかい?」

探偵  :「いや、できるね」

伊右衛門:「まことでござるか?!」

探偵  :「子供の幽霊は魂の状態で彷徨っていることが多いんだ。
      もしそうなら、幽霊をおびき出すなんて簡単なことさ」

店主  :「一体どうやって?」

探偵  :「意識のない人間を置いておけばいい」

助手  :「う……何か嫌な予感!」

探偵  :「その幽霊は男を追いかけてくるって話だ。
      恨みなのか、何なのかはわからないが、何か男に用事があるんだろう。
      身体がなくて話せないから、結局追いかけるしかできないんだ。
      そんな幽霊にはどういう状況を用意してやったらいいと思う?」

伊右衛門:「いやぁ……皆目見当がつかぬでござるよ」

探偵  :「ふっふっふ、佐藤くん、きみの出番だ!!」

助手  :「やっぱり!!」

店主  :「ちょっと待っておくれ、嬢ちゃんに何をさせるつもりなんだい」

探偵  :「幽霊に、佐藤くんの身体を使ってもらうんだよ」

伊右衛門:「身体を!?」

助手  :「嫌ですよ私は!!!」

探偵  :「でも僕がするわけにいかないだろう? 僕は男だし、追いかけられるのが関の山だ」

店主  :「しかし、身体を貸すなんて危険なんじゃ……」

助手  :「そうですよ! そのまま身体を奪われちゃったらどうするんですかっ!?」

探偵  :「僕がちゃんと奪い返すさ(にっこり)」

助手  :「その笑顔どうしても信じられません!!」

探偵  :「今月の家賃払いたいんだろ?」

助手  :「うっ」

探偵  :「僕を信じて、覚悟を決めろ」

助手  :「わ、わかりましたぁ……」

伊右衛門:「その、ひとつ疑問なのでござるが、
      幽霊を身体に取り憑かせるというのは……
      そんなに簡単にできることなのでござるか?」

探偵  :「それはまぁ、いい方法があるんだ」

店主  :「いい方法?」

探偵  :「取り出(いだ)したる、こちらのハンカチ」

助手  :「ちょっと、何する気??」

探偵  :「こうやるんだ……よ!」

(助手の口にハンカチを押し付ける)

助手  :「むぐう!! ぐぅ……」

伊右衛門:「あっ!!」

店主  :「ああっ!!」

(助手、眠り込む)

探偵  :「いっちょ上がり! いやあ、特注品のクロロホルムはよーく効くなあ」

店主  :「嬢ちゃん……」

助手  :「Zzz……」

探偵  :「ご心配なさらずに。ただぐっすりと寝てるだけですよ」

伊右衛門:「強引な……」

探偵  :「こいつは元々、霊に乗り移られやすい体質だから、
      眠らせちまえば、勝手に霊が取り憑くはずです!!」

店主  :「そんなご都合主義な話があってたまるかね」

千賀子 :「う……うーん」

探偵  :「あれっ、もう目が覚めた!?
      おかしいな……薬の量を間違えたか!?」

千賀子 :「よかった……」

探偵  :「いやあ佐藤くん、これは色々と考えてね……」

千賀子 :「やっと身体が手に入った……」

探偵  :「え? ……やったねうまくいった!」

伊右衛門:「おなごの幽霊が取り憑いたでござるか!?」

店主  :「声の感じが違う……この子は嬢ちゃんじゃないよ」

千賀子 :「ここは……」

店主  :「いらっしゃい。わたしの店によく来てくれたね」

千賀子 :「はじめまして、私、千賀子(ちかこ)と申します」

探偵  :「あのガサツな佐藤くんが、別人に見えるおしとやかさだ……」

千賀子 :「素敵な殿方が三人もいらっしゃるなんて……
      あら? お侍様は、私と同じ幽霊のようですね」

伊右衛門:「いかにも。某、新田伊右衛門と申す直参でござる」

千賀子 :「直参……それでは私よりも長くこの世に留まってらっしゃるのですね」

店主  :「千賀子さん、よかったらあなたの身の上を話してみないかね。
      お酒でも飲みながらさ」

千賀子 :「お酒、ですか?」

伊右衛門:「店主の雄二郎殿は信頼のできる御仁、安心されよ千賀子殿」

千賀子 :「……あの、実は私、お酒を飲んだことがなくて……」

店主  :「若くして、亡くなったのかね?」

千賀子 :「はい。15歳でした……」

探偵  :「エクセレント!」

千賀子 :「えっ?」

店主  :「き、気にしないでおくれ」

伊右衛門:「そうでござる、見ざる聞かざるでござるっ」

探偵  :「千賀子さん! この如月雄介。貴方の為に命を懸けましょう」

千賀子 :「まぁ……」

探偵  :「貴方の望むこと、すべて僕が叶えてごらんに入れます!」

千賀子 :「本当ですか? ありがたいわ。こんなに親切な方がいらっしゃるなんて」

伊右衛門:「いや千賀子殿……。それは悪魔のささやきでござる」

店主  :「そうだよ、警戒心を持った方が」

探偵  :「外野がうるさいなあ……。
      とにかく千賀子さんの成仏できなかった原因を探らないとだろう?!」

千賀子 :「成仏できない原因……そんなものがあるのでしょうか」

店主  :「何か心当たりとかないのかね」

千賀子 :「……ちょっと記憶が、ぼんやりとしていて……」

伊右衛門:「それも覚えていないでござるか?」

探偵  :「男を追いかけていたってのは、わかる?」

千賀子 :「はい……。私どうしてそんなことをしてしまうのでしょうか……」

探偵  :「そうか。じゃあ、そこを見てみよう」

千賀子 :「え?」

探偵  :「佐藤くんが冒頭のナレ―ションでも言ってただろう。
      僕には霊的な物質から過去を見ることができるって」

伊右衛門:「なれえしょん……??」

店主  :「もうほんと何でもありだねえ……」

千賀子 :「過去を見るなんてことが、お出来になるのですか?」

探偵  :「勿論。何か身に着けているものをお借りできればね!」

伊右衛門:「なるほど! そこから過去を読み取り原因を探るということでござるな?」

探偵  :「そういうこと」

千賀子 :「この簪(かんざし)でも大丈夫でしょうか?」

探偵  :「いいでしょう、それでは行きます……。
      ふむ、これは千賀子さんのお母さんが使っていた物なんですね」

千賀子 :「……そうです! 思い出しました。
      この簪は……私の結婚が決まった時に、母から受け継ぎました……」

店主  :「おお……ちゃんと見えてるんだねぇ」

探偵  :「ふむ、生前の千賀子さんもお母さまも、大変お美しい」

千賀子 :「えっ。あの、母の姿まで見えているんですか?」

探偵  :「ええ、バッチリクッキリと……。ややや!」

伊右衛門:「な、何か見えたのでござるか!?」

探偵  :「す、凄いものが……。やばいぞこれは」

千賀子 :「っ……(つばを飲み込む音)」

探偵  :「千賀子さん……、随分と大きくなるまでお父上とお風呂に入られて……」

千賀子 :「!!!!」

(探偵エアガンで撃たれる)

探偵  :「がっは!」

伊右衛門:「千賀子殿!!」

店主  :「千賀子さん!!」

千賀子 :「あら……なぜでしょうか、体が勝手に動きました……」

店主  :「嬢ちゃんが守ってくれたんだろうねえ……」

伊右衛門:「はははははは破廉恥な!!」

探偵  :「あたたた……、見事に眉間撃ち抜かれた。あいつめ、体取られても僕の邪魔しやがる」

店主  :「嬢ちゃんがやってなければわたしが拳骨くれてやったところだよ。
      原因を探りもしないで何をやっているんだいまったくっ」

探偵  :「いーや、原因はだいたい探れたよ。
      ま、そのさっきのはちょっとついでに、見てきただけで……」

伊右衛門:「ついでで覗いてよいところではなかろうに!!!
      おなっおなごのっ、にゅっ入浴っにゅうよくーーっっっ」

店主  :「どうどう、伊右衛門さん落ち着いて……」

探偵  :「悪かったって……。
      とにかくまあ、僕が見てきた感じ、
      千賀子さんが成仏できない理由は、祝言を挙げられなかったからっぽいなあ」

店主  :「祝言を挙げる前に亡くなったのかい?」

千賀子 :「あ……、思い出しました。私、祝言のひと月前に、死んでしまって……」

伊右衛門:「それはさぞ無念であったろう……」

店主  :「慕っていた相手と結婚する予定だったのかい?」

千賀子 :「それはどうだったか……」

探偵  :「お見合いだったっぽいね。
      でも、別に悪い縁談だったわけでもないし、
      千賀子さん本人も結婚を楽しみにしていたみたいだ」

千賀子 :「あ、白無垢……」

探偵  :「白無垢も見えたよ。病気が治ったら袖を通すはずだったのかな」

千賀子 :「そうです! ……白無垢……着たかった……」

店主  :「女の子にとって一世一代の晴れ舞台だものね。残念だったね……」

千賀子 :「はい……」

探偵  :「……だったら結婚しちゃえばいいんじゃない?」

千賀子 :「え?」

探偵  :「結婚できなかったのが無念で成仏できないんなら、今ここで結婚式やれば解決だろう!」

伊右衛門:「た、確かに!」

店主  :「でも、そんなこと言ったって、結婚式なんてそんな簡単にできるもんでもないじゃないか」

探偵  :「何も式を全部やり通さなくてもいいし。
      店内でちょっとお酒とか料理用意してさ、それっぽくやればいいじゃないか!」

千賀子 :「でも、肝心のお相手がいませんし……」

店主  :「幽霊のお婿さん役……じゃあ同じ幽霊の伊右衛門さんかい?」

伊右衛門:「そ、某にはおみつという妻がおり申す!! たとえ真似事でも祝言などはっ」

探偵  :「ってことは僕しかいないね、しょうがないなあ〜、ってうわああ!?」

(探偵、エアガンで連射される)

千賀子 :「あ……また体が勝手に動きました」

探偵  :「佐藤くん!? 僕は決してやましい気持ちで言ってるわけじゃないぞ!?」

店主  :「探偵さん。
      成仏できなくなるほど楽しみにしていた祝言のお相手を務めるのに、
      しょうがないからっていうのは、言葉が悪いんじゃないかい?
      女性の気持ちを少しは考えておやりなさい」

探偵  :「む……せ、僭越ながら、私如月雄介が務めさせていただきます……」

千賀子 :「本当にいいんですか?」

探偵  :「もちろんだとも! 衣装だってほらここに!!」

千賀子 :「えっ……まさか白無垢まで?!」

探偵  :「いや……千賀子さんのとは違うんだけど……」

(探偵、荷物を探り、ドレスを取り出す)

探偵  :「真っ白なウエディングドレスはどうかな!?」

千賀子 :「わあ……!」

伊右衛門:「おお! 西洋の白無垢でござるな!!」

千賀子 :「こんな素敵なドレスを着られるなんて……夢みたいです」

店主  :「きっと似合うと思うよ。……探偵さん、ちょっと。
      (ひそひそ声で)水を差すようだけど、サイズは大丈夫なのかい?」

探偵  :「(ひそひそ声で)悔しいけどうちの佐藤くんは、
      コスプレ居酒屋の推しメン、アヤコちゃんと
      身長・スリーサイズともにピッタリ一緒なんだ!!
      アヤコちゃんのコスプレイベント用にと思ったドレスだけど、
      千賀子さんの為だ、喜んで提供しようじゃないか!」

店主  :「……そ、そうかい……」

伊右衛門:「しかし、探偵殿が千賀子殿と結婚式を挙げるとして……
      某は何かお手伝いできるのでござるか? 何かできないことにはそのう……」

探偵  :「そうだった、禊をしなきゃいけないんだよな?」

店主  :「伊右衛門さんが牧師をするというのはどうかね?」

探偵  :「侍が牧師!? はははは! やばいねそれ!!」

千賀子 :「皆さん、私の為に……ありがとうございます、嬉しいです……」

店主  :「じゃあ、暖簾を下ろして、結婚式の準備をしようか」

(間)

伊右衛門:「新郎、如月雄介殿。
      その健やかなるときも、病めるときも、 喜びのときも、悲しみのときも、
      富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、
      その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

探偵  :「はい、誓います」

伊右衛門:「新婦、千賀子殿。
      その健やかなるときも、病めるときも、 喜びのときも、悲しみのときも、
      富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、
      その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

千賀子 :「はい、誓います」

伊右衛門:「それでは指輪の交換を……」

店主  :「伊右衛門さん! そこは省く!! 次、次!!」

伊右衛門:「おおっと失礼を致した、……えーと……」

探偵  :「侍がiPad見ながら牧師役ってシュール!」

店主  :「しーーっ!」

伊右衛門:「そ、それではっ、誓いの口付けを……!」

千賀子 :「はい……」

探偵  :「うーん、顔が佐藤くんじゃなければなあ……」

店主  :「嬢ちゃんだって十分美人さんじゃないか」

探偵  :「でもやっぱ年齢的にオーバー」

伊右衛門:「誓いの! 口づけを!!」

探偵  :「ああもう! わかったよ! ちゃんとするよっ……ん!」(軽くキスをする)

千賀子 :「……っ」(恥ずかしい)

伊右衛門:「それでは皆の衆、結婚の絆によって結ばれたこのお二人を、
      神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈るでござる!」

店主  :「ああ、ござるって言っちゃった……」

千賀子 :「私、とても幸せです……」

探偵  :「ははっ、それなら……よかったよ、うん」

伊右衛門:「それでは、披露宴に移るでござる!
      乾杯の音頭は、仲人である雄二郎殿に」

店主  :「はいはい。えー、では僭越ながら若い二人の前途を祝し……
      おっと幽霊に前途はないか……うーん、若い二人の……門出かね!
      門出を祝して、乾杯!!」

全員  :「乾杯!」

伊右衛門:「千賀子殿、そのどれす、よくお似合いでござるよ」

千賀子 :「ありがとうございます、伊右衛門さん」

店主  :「祝い酒のお味はどうかね?」

千賀子 :「美味しい、です」

店主  :「それはよかった。ゆっくり飲むといいよ」

千賀子 :「はい……。あの……」

店主  :「なんだい?」

千賀子 :「結婚生活って、どういうものなんですか?」

店主  :「え?」

千賀子 :「あ、えっと、あの……結婚したら、二人の生活が始まるじゃないですか。
      もし私が結婚できていたら、どうだったのかなあって考えちゃって……
      欲張りでしょうか……」

探偵  :「そんなことはない、それはとてもいい質問だ。
      夫が仕事から帰ってきたら、妻はメイド服姿でお迎えするんだ。
      そして少し頬を赤らめながらこう言うんだよ。
      お帰りなさいませご主人様。
      ご飯になさいます? お風呂になさいます? それとも、わた……うおあ!!!」

伊右衛門:「某の本気の一太刀を、よくかわしたでござるな?」

探偵  :「ちょっと! 首狙ったろ首! 僕まで首が取れるようになったらどうすんのさ!?」

千賀子 :「あら、そうなったら本当に結婚できるじゃありませんか」

探偵  :「なんてこと言うんだよ! ちょっと佐藤くんの性格混じってきたんじゃないの?」

千賀子 :「ふふふ」

店主  :「早速夫婦喧嘩かい、仲がよくて何よりだね」

探偵  :「夫婦喧嘩で首落とされたらシャレにならないよ!」

店主  :「はっはっは」

千賀子 :「それで、本当にメイド服、というものを着るんですか?」

店主  :「いやいやそれは探偵さんの冗談だから」

千賀子 :「冗談……」

店主  :「わたしは恥ずかしながら今まで独身できたもんだからねえ……
      ここは、ちゃんと結婚生活を送っていた伊右衛門さんに話を聞こうじゃないか」

伊右衛門:「そっ某でござるか!?」

千賀子 :「伊右衛門さんの奥様がどうやって過ごされていたのか知りたいです。ぜひ教えてください」

伊右衛門:「ええと、確か……明け六つに某が起きる頃には、
      もう妻のおみつは起きて台所の支度をしておったな……。
      某が起きると、顔を洗う水を用意してくれて、
      着替えを手伝ってくれた後、朝飯を出してくれる。
      そのあとは……掃除と洗濯と繕い物といったところかと……」

探偵  :「すごい至れり尽くせりというか……なんでもやってくれる感じなんだな……」

伊右衛門:「うむ。某にはもったいないくらいの、妻でござった」

探偵  :「いいなあ、そんな生活……ロリっ子大和撫子!!」

千賀子 :「憧れますよね。私も旦那様に尽くしてみたかった……」

店主  :「……次に生まれ変わって、したらいいじゃないか」

千賀子 :「え?」

店主  :「これだけ予行練習もしたんだし。
      次は、ちょっとやそっとの病気なんかにゃ負けない元気な体で生まれてきてさ。
      いい旦那さんを捕まえて、ごっこじゃない、ちゃんとした家庭を築くといいよ」

千賀子 :「……成仏したら……そうできるでしょうか?」

探偵  :「できるよ。だって千賀子さん、結婚したくて夜な夜な男を追いかけてたんだろう?」

伊右衛門:「えっ、そういうことだったのでござるか!?」

千賀子 :「恥ずかしい、私ったら……」

店主  :「でも、そのバイタリティがあれば、何でもできると思うよ」

千賀子 :「……そう、でしょうか……」

伊右衛門:「千賀子殿なら、きっといい奥方になれるでござる」

千賀子 :「皆さん……ありがとうございます……。
      私、生まれ変わって、今度こそ……幸せな結婚生活、したいです!
      伊右衛門さんの奥様のように、旦那様を支えられるお嫁さんになりたい……」

店主  :「自分を信じて、頑張るんだよ」

千賀子 :「はい。……私、今日のことも、皆さんのことも、絶対に忘れません」

探偵  :「ああ、僕も忘れないよ」

伊右衛門:「某も忘れないでござる」

千賀子 :「あとは、この体を貸してくださった佐藤さんのことも……」

店主  :「ちゃんと感謝してたこと、伝えておくから安心しなさい」

千賀子 :「はい、……あっ」
(千賀子、光に包まれる)

探偵  :「この光は!!」

千賀子 :「皆さんさようなら、そして本当にありがとう、あなた……」

(探偵に口づけをする)

探偵  :「ん!!!」

(探偵に口づけたまま成仏する千賀子)

探偵  :「……」

助手  :「っ!? おい!」

探偵  :「ん?」

助手  :「てめえええええ!!! 何してんだこの野郎!!!」

店主  :「じょ、嬢ちゃんが戻ってきた!」

探偵  :「待て! これは話せば長くなるんだ!」

助手  :「ほう……聞いてみようじゃねえか? いきなり人にキスしやがった理由を……存分に体になあ!!」

探偵  :「ぎゃあああああ」

伊右衛門:「で、では千賀子殿は無事成仏できたのでござるな!?」

店主  :「だといいねえ」

助手  :「人の唇奪った罪は重いぞてめえ!!」

探偵  :「や、やめろお! 全然聞く気なんかないじゃないか!」

助手  :「死ねえ!」

(探偵に、助手のアッパーカットが直撃)

探偵  :「がっは!!!」

伊右衛門:「ま、幻の……左でござるな」

店主  :「……お見事」

(間)

助手  :「そうですか、花嫁衣装が着たくて男性を追いかけていた幽霊だったんですね」

店主  :「嬢ちゃんにもお礼を言っていたよ」

助手  :「お役に立てたならよかったです。
      しかし、クロロホルムからウエディングドレスまで持ち歩いてるのか、この変態野郎……。
      しかもこんな奴と二回もキスしたとか、うえ……」

伊右衛門:「しかし……そのおかげで、千賀子殿も無事成仏できたのでござるから……」

助手  :「そ、そうですね……。こんなに早く事件解決できたんですから。
      まあ、この馬鹿から、慰謝料含めてたんまりボーナスもらうことにしますよ」

店主  :「ははは、そうしたらまた飲みにおいで。わたしからも一杯ご馳走するからさ」

助手  :「ありがとうございます、大将。伊右衛門さんも、バイト頑張ってください」

伊右衛門:「うむ、帰り道は気を付けるでござるよ」

助手  :「ええ、それじゃあ。オラ! 行くぞ」

(助手、探偵を引きずり退店、引き戸が閉まる)

店主  :「……嵐が去ったというかなんというか……いやいやこんなことは言っちゃいけないけども」

伊右衛門:「雄二郎殿」

店主  :「どうしたね伊右衛門さん」

伊右衛門:「…………某の成仏のお手伝いは不十分だったのでござろうか」

店主  :「ん? どういうことだい?」

伊右衛門:「某が成仏できそうな……兆しの一つもないのでござるが」

店主  :「あっ……」

伊右衛門:「こう光がぱああっと降り注ぐとか!! 何かあるでござろう、さっきの千賀子殿のように!!!
      というか最初に美由紀殿や雄二郎殿と話をした時には確かに光が差し込んだはずなのに!!
      何故!! 何故未だ某は成仏できないのでござるか!?!?」

店主  :「いっ伊右衛門さん落ち着いてっ」

伊右衛門:「千賀子殿は簡単に成仏できたのに!!
      某は!! どうして!! できないのでござるかー!!」

店主  :「さ、酒でも飲むかね、伊右衛門さんっ」

伊右衛門:「嗚呼みつに会いたい……
      某だって!! みつに!! 会いたいでござるよおおおおおっ!!!」

店主  :「(酒を注いで)さ、ぐいっとお飲みよ」

伊右衛門:「(飲んで)ぷはぁ……」

店主  :「いい飲みっぷりだね! さあもっと飲んで飲んで。こういう時は飲むに限るよ」

伊右衛門:「某の!! 成仏できる道は!! どこでござるかーーーっ!!!」
(間)

伊右衛門:(N)「元直参 新田伊右衛門のぶろぐ
         6月19日 
         今日も成仏できなかったでござる。
         折角他の幽霊が成仏する手伝いをできたというのに、
         某は未だ、現世に縛られたまま……
         哀れと思ってくださる方は、ふぉろーといいねをお願いするでござるよ」





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