秀麗なるショコラの香りは仄かに

作:早川ふう / 所要時間 20分 / 比率 1:1

利用規約はこちら。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2015.2.14.


【登場人物紹介】

しゅう
  四月から社会人。
  高校3年からの付き合いであるほのかを二週間放置中。

ほのか
 しゅうより2つ年下。大学生。
 しゅうとは高校1年生の頃からずっと付き合っている。

【配役表】

しゅう・・・
ほのか・・・



(ほのかのアパート。ソファに座っているしゅうと、少し離れた床に座っているほのか)


ほのか  「あーあ。バレンタイン、かぁ……」

しゅう  「そうだな」

ほのか  「どうせ一緒にいられないに決まってるのに、
      用意するのもなぁ……」

しゅう  「……え? 俺ここにいるんだけど?」

ほのか  「どれだけ放っとくつもりなんだろう。
      もう二週間だよ!?
      いくら付き合ってそこそこ長いからってさ、
      こんだけ放置されるのもどうなのよ」

しゅう  「……えーっとそれは……スミマセン」

ほのか  「毎年違うもの作ろうとか頑張ってる努力だってさ〜、
      どーせ気付いてないんだろうし!
      まぁどーーせ、会えないんだろうし!
      そんなバカの為に作ることないかぁ!!」

しゅう  「すいませんでしたああああああああああ!!!!!!!!」

ほのか  「あれ、しゅう。いたの?」

しゅう  「いたの、って……!
      ちゃんと連絡してから此処来たよな?!
      合鍵もらってないからチャイム押して入ってきたよな!?
      ほのかだってドア開けてくれたじゃないか!」

ほのか  「会うの久しぶりすぎて忘れちゃったよー」

しゅう  「どうやったら忘れるんだよ!
      ベクトル違うだろ!!」

ほのか  「だって嫌味のひとつも言いたくなるじゃない!
      二週間も放置してたんだからっ!」

しゅう  「うッッ」

ほのか  「着信残してもかけなおしてこないし、
      LINEも既読すらしないで!
      通知オフってたのかなー?
      既読ついたの今朝だったもんねぇ!?」

しゅう  「はうあッッッ」

ほのか  「可愛い彼女を二週間も放置して?
      忙しかったなんて信じると思うの!?
      バレンタインだからチョコだけもらいにきたわけ!?
      あーあ、図々しい!」

しゅう  「いやそんなつもりはまったくございませんですハイ」

ほのか  「何よ、ほんとに反省してんの!?」

しゅう  「してますしてます」

ほのか  「しゅうが二回繰り返す時って、大体やましいことがある時だよねぇ」

しゅう  「や、やましいことォ?!」

ほのか  「浮気でもしたのかなぁ?」

しゅう  「浮気ぃ!? するわけねぇだろ!?」

ほのか  「あっはは〜そうだよね〜、そんな甲斐性ないかー」

しゅう  「いちいち棘刺してくるなコイツ……」

ほのか  「キャバ嬢に貢いじゃったとか、せいぜいその程度だろうね」

しゅう  「あのなぁ……」

ほのか  「もしかして! 実家からの仕送り使い込んだの!?
      あ、だから私に連絡してきたんだ!
      しょうがないヤツー、何日ごはん食べてないの? ひもじい?」

しゅう  「人バカにするのも大概にしようか」

ほのか  「大丈夫だよ、ちゃんと死なない程度の最低限は恵んであげるから」

しゅう  「うるせぇ黙れ人の話を聞けえええい!」

ほのか  「……あっれー? そんな口聞いていいのカナー?
      私、怒ってるんですけど!」

しゅう  「……ぐ、……だから……その……連絡しなかったことは……悪かったって……」

ほのか  「ああっ!!!」

しゅう  「ど、どうしたっ?」

ほのか  「もしかして、これ、幻覚なのかな!?」

しゅう  「はぁ!?」

ほのか  「そう……だよね……。
      だって、いくら長く一緒にいるからって、
      結婚前提に付き合ってる彼女を二週間も放置しないよね……!」

しゅう  「しつこいな……!
      つーか、さらりと結婚前提とか言ったか!?
      まだ将来のことなんて一言も話したことないぞ!
      プロポーズもしてねぇのに、いつから結婚前提の付き合いになってんだ!!」

ほのか  「そっか……これは神様がくれたひとときの夢の時間なのね……!」

しゅう  「おい、ほのか戻って来い、脳内おかしいことになってんぞー」

ほのか  「本当のしゅうは事故か病気で死んじゃってて……
      私に連絡できなかったのが心残りで、
      だから幽霊になって私に会いに来てくれたのねっ?!」

しゅう  「お盆でもねーのに会いにこれるかドアホ!!!
      じゃなくて、勝手に殺すな!!!
      幻覚ならまだしも彼氏を勝手に幽霊にしてんじゃねえ!!」

ほのか  「じゃあ、あなたニセモノなんでしょう!」

しゅう  「今度はニセモノよばわりか!?」

ほのか  「あなたはしゅうの影武者?
      それともあなたが本物のしゅうなの?
      私と付き合っていた方が実は影武者?」

しゅう  「何時代の話をしてるんだ一体!!」

ほのか  「いいの、何も言わないで。
      あなたが誰であっても構わない」

しゅう  「オイ」

ほのか  「だってあなたは私の愛した人と同じ姿をしているんだから……!
      たとえあなたがしゅうでなくても……
      この鬱憤、晴らさせてもらうわ!!!!」

しゅう  「無茶苦茶言うな!!! 別人だったらとんだとばっちりだろソレ!!!」

ほのか  「え、ほんとに別人なわけ?」

しゅう  「んなわけあるか本人だよ!」

ほのか  「じゃ、とばっちりじゃないじゃない。
      大人しく制裁を受けなさあああい!!!」

しゅう  「あーあーすいませんでしたああ!!
      彼女がいながら二週間も連絡無視して放置して
      俺は本当にひどい男でしたああああああああ!!!!」

ほのか  「はぁ……。
      しゅう、反省が足りないのよあなた」

しゅう  「これ以上俺にどうしろと……!!
      頭でもまるめろってか!?」

ほのか  「私ボーズ嫌いだからそれはしなくていい」

しゅう  「あっそう」

ほのか  「じゃあ……(冷蔵庫からトリュフを取り出して)
      これ! ぜーんぶ綺麗に食べてくれたら、少しは機嫌直してあげる」

しゅう  「それ、チョコか?
      さっき作らないとか言ってたのに、結局用意してあるのかよ」

ほのか  「そりゃ彼女だもん。用意するよ」

しゅう  「……ありがとう」

ほのか  「べ、別に……」

しゅう  「本当に、ごめんな……。
      用意してくれてるとは、思わなかったから……嬉しい」

ほのか  「ケーキとかブラウニーとか……
      そういうのじゃないけど、いい?」

しゅう  「トリュフだから手抜きだろうとか言わないぞ俺は」

ほのか  「そっか」

しゅう  「食っていい?」

ほのか  「ラッピングしてなくて、ごめんね」

しゅう  「いや、そんなの謝らなくていいよ。
      いただきます。
      (1つ食べて) うん、美味い……」

ほのか  「甘すぎない? 大丈夫?」

しゅう  「俺好みの味。さすがほのか。マジで美味いよ」

ほのか  「よかった」

しゅう  「本当に、ごめんな」

ほのか  「心配、したんだからね」

しゅう  「俺が考えなしだったよ。
      ほのかだったら、別に大丈夫かーとか、軽く考えてた」

ほのか  「本当に、心配したんだよ……。
      本当に、死んじゃったんじゃないかって……怖かった」

しゅう  「ごめん」

ほのか  「いつアパートに行ってもいないし……」

しゅう  「えっ、俺のアパート来たの!?」

ほのか  「うん」

しゅう  「そっか……悪かったな……」

ほのか  「私が連絡つく共通の友達の誰に聞いても、
      しゅうが何してるか知らないって言うし」

しゅう  「お、おう……」

ほのか  「もしかして急な不幸とかで、実家に帰ってるのかなって思ったけど
      実家に電話してみたら、お母様は何もご存知なかったから……」

しゅう  「ちょっと待て。
      なぁんでほのか俺の実家の番号知ってんの?」

ほのか  「え? 実家の場所教えてくれたじゃない」

しゅう  「最寄り駅と大体の場所しか教えてないだろ!?」

ほのか  「大体の場所がわかれば、あとは苗字で探して住所を特定して電話番号に行き着くけど?
      今時のネットって便利ね、何でも検索できちゃう」

しゅう  「そ、そうなのか!? そういうもんなのか?!」

ほのか  「で、実家にいないならやっぱりアパートにいるはずじゃない。
      だから、病気とかで中で倒れてるのかなって思って
      大家さんに鍵を開けてもらったんだけど」

しゅう  「はぁ!?!?
      何勝手なことしてんだよ!!!」

ほのか  「そしたらダンボールがいっぱいあったから……
      私に黙って引っ越すつもりだったんだね……」

しゅう  「うっ、それは……」

ほのか  「どういうことなの……?
      もしかして、しゅう、私から逃げるつもりだったの……?」

しゅう  「おい、段々アヤシイ雰囲気になってんぞ!
      ヤンデレか! いや、デレてないから病んでるだけかオイ!」

ほのか  「ねぇ答えて。
      そうまでして私から逃げておいて……
      それでどのツラ下げて私のところに戻ってきたの?
      殺されに来たの? そっか、ねぇ、いっぺん死んでみる?」

しゅう  「やめろやめろ冗談にしても笑えねぇ!!!」

ほのか  「ふふふ、何にせよ戻ってきてくれてよかったよ。
      しゅうはちゃんと無事で生きててくれた、
      私のチョコ、食べてくれた……。
      今は、それだけでいい……」

しゅう  「何かまだ台詞の端々が怖いんだが大丈夫なのか……?」

ほのか  「私の作ったトリュフ、食べてくれた……
      だからもうこれで私たち、いつでも一緒だよ」

しゅう  「は? たとえ今日用意されてなかったとしてもそれは俺が悪いんだし、
      そんなんで別れるつもりはなかったけど……?」

ほのか  「ねぇ、しゅうはトリュフの作り方知ってる?」

しゅう  「いや、知らないけど」

ほのか  「そう。
      ……トリュフ作るときにね、この指、怪我しちゃったんだ……」

しゅう  「そ、そうだったのか。大丈夫なのか?
      包丁気をつけろよ?」

ほのか  「不注意で怪我したんじゃないよ」

しゅう  「え?」

ほのか  「トリュフの作り方はね、チョコを湯煎でゆっくり溶かして、生クリームと混ぜるの……
      そのあと、隠し味にちょっぴり…………」

しゅう  「おい。その流れで止めるな!
      隠し味にちょっぴり何を入れたんだ!」

ほのか  「ふふふ」

しゅう  「指をうっとりと見つめるな!
      まさか……おい……まさかとは思うが……」

ほのか  「そうだ。ねぇ、しゅう、気付いた?
      私、前髪昨日切ったんだ……」

しゅう  「か、髪の毛!?
      待て。ほんと待ってくれマジで!!!」

ほのか  「だから。ね。
      私たち、ずっと一緒だよ?」

しゅう  「ひいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」

ほのか  「会えない間、いっぱい研究してたんだ。
      しゅうと一緒にいる為にはどうすればいいか、いっぱい考えて、
      結局行き着いたのはオーソドックスな方法。
      特殊なまじないをかけたチョコレートに、血と体の一部を混ぜて食べさせる……
      古典的だけど、一番確実なんだって」

しゅう  「冗談じゃなくマジなのか!?
      冗談じゃなくマジなのか!?
      冗談じゃなくマジなのかああああああ?!」

ほのか  「これで、永遠に一緒……」

しゅう  「確かに俺が悪かったけど、本当に悪うございましたけど!!
      そんな不気味なコトしなくても俺はお前と付き合ってるじゃねぇか!!!」

ほのか  「こうするとね、しゅうに何かあったらすぐわかるんだよ。
      だから、しゅうが病気になったり、危ない目にあってたら、すぐわかる。
      安心して、何があっても私がちゃんと助けてあげる」

しゅう  「今助けろ! 今まさに人生最大の危機だから!!!」

ほのか  「もしも私の助けが間に合わなくて、
      最悪しゅうが死んじゃったとしても、大丈夫なんだよ?」

しゅう  「だから勝手に殺すなあああああ!!!
      というかもう俺は死んだ気分だあああああああああああ」

ほのか  「しゅうはずっと私のそばにいて私を守ってくれるの、すごいでしょ?」

しゅう  「そう都合よく守護霊になってたまるか!
      呪って祟るぞコノヤロウ!!!」

ほのか  「これで試験もバッチリだ!!!」

しゅう  「守護霊カンニングに使ってんじゃねぇ!!!」

ほのか  「あ、学食の券売り切れないうちに買っておいてもらおーっと。
      いや、むしろ一枚券売機からすすっと取っておいてよ?」

しゅう  「守護霊パシるな! 盗みをさせるなこのばちあたり!!!」

ほのか  「ってことで、おとなしく守護霊になりなさい。
      しゅう覚悟おおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!!!!」

しゅう  「すでに殺す気満々じゃねぇか!!!!
      早まるな!! 俺を刺したとして、どうやって警察の目を誤魔化すんだ!?
      守護霊と一緒に刑務所に行くのか!?」

ほのか  「……! ……そっか……殺人で捕まるのはゴメンだわ。
      うーーーーん……完全犯罪ってどうやったらできるのかなぁ。
      次はそれを研究しようっと!」

しゅう  「もう勘弁してくれえええ……!
      謝る、いくらでも謝るから……!!!
      俺にできる償いは何でもするから……!!!!!!」

ほのか  「……ほんっとーに反省してるの?」

しゅう  「してるって……」

ほのか  「心配したんだからね」

しゅう  「わかってる……」

ほのか  「無事だってわかってからも……連絡はくれなかったし……
      引越しのことだって聞いてなかったし……
      不安だったんだから!
      いっぱい泣いたんだから……!!!」

しゅう  「だからごめんって……。
      ほのかがそんなに行動力あると思わなかったんだ。いやこれはほんとマジで。
      むしろ今日どん引いたけど。
      いやとにかく、……ほんとごめんな。
      もうこんな思いさせないから」

ほのか  「絶対?」

しゅう  「絶対」

ほのか  「絶対の絶対?」

しゅう  「絶対の絶対」

ほのか  「絶対の絶対の絶対の……」

しゅう  「大丈夫だから! 絶対だから!!!」

ほのか  「……うん」

しゅう  「俺だって命は惜しい」(ぼそっ)

ほのか  「何か言った?」

しゅう  「いや何も!!!」

ほのか  「……それで、何で引っ越したの?」

しゅう  「えっ? 見当つかないのか?」

ほのか  「わかんないから訊いてるの」

しゅう  「お前のことだから引越し先知ってるんじゃないのかよ?」

ほのか  「知らない」

しゅう  「あっそこだけノーマーク?」

ほのか  「……だって、それ以上知るのは、何となく、怖くて……」

しゅう  「むしろもっと前に躊躇してほしかったけどな……」

ほのか  「……もし誰か、他の女の子と同棲するとかだったら……私耐えられないもん。
      二股とかアリエナイ。絶対ムリ……。そんなの見たくない……」

しゅう  「俺は浮気できる甲斐性ないんじゃなかったっけ?」

ほのか  「本気だったら、浮気じゃないじゃん。
      むしろ私が浮気相手だったら……とかさ……」

しゅう  「そういうとこはネガティブなのかよ」

ほのか  「いっぱい、泣いたんだから」

しゅう  「ったく……。でも……不安にさせてごめんな。
      ……これを言うのは、別の意味で俺が不安なんだけど……
      でも、ちゃんと言うよ」

ほのか  「……別れ話?」

しゅう  「アホ。この流れでそれはないだろ。
      むしろ本当に別れたかったらこの流れでは絶対言わないからな!
      殺される絶対殺されるよ俺」

ほのか  「何よう、もぉ」

しゅう  「……ほのか」

ほのか  「ん」

しゅう  「一緒に暮らさないか」

ほのか  「えっ……」

しゅう  「四月から社会人になるしさ。
      そしたら忙しくなって、またこうやって寂しい思いさせるかもしれないだろ。
      俺バカだから、なかなか女心ってやつ汲み取れないし」

ほのか  「もしかして引越しって……」

しゅう  「ほのかと住めたらいいなと思って、職場に近い場所だけど、ちょっと広めのとこ借りた。
      ほのかの大学にも通える距離だよ。
      家賃は俺が出すつもりでいるけど、もし気にするようなら折半でもいい。
      ほのかの今のアパートより、安くなるのは計算済みだし」

ほのか  「……なにそれ……」

しゅう  「忙しかったのはホントごめん。
      バイト入れまくって、足りない資金集めてたんだ。
      どうしてもほのかと一緒に暮らしたかったから」

ほのか  「しゅう……私のこと……考えてくれてたんだ……」

しゅう  「そりゃ考えるよ……付き合ってる大事な彼女なんだから」

ほのか  「……うわああああん、しゅう大好きだよーーーー!!!」

しゅう  「うん、俺も大好きだよ」

ほのか  「ばかー! しゅうのくせにー! こんなサプライズー!」

しゅう  「俺のくせに、って……嬉しくないのかよ」

ほのか  「嬉しいに決まってんでしょー!
      だからばかーってゆってんでしょーーー!!!」

しゅう  「素直じゃねぇなあ」

ほのか  「もおおおお! 驚かせないでよーー!!」

しゅう  「いやあ、こんだけやっても、今日お前が俺に与えた驚きにはかなわないけどな……」

ほのか  「後悔したって知らないからねええええ!
      絶対離さないからねえええええっ!」

しゅう  「そうだな、若干後悔してるけど、絶対離れられる気しないし……
      とりあえずまだ惚れてるからいいよ」

ほのか  「いいよって何! 何で上から目線なの!?」

しゅう  「だってお前なぁ!
      いくら俺が悪かったからって、脅かしすぎなんだよ!!!」

ほのか  「何が?」

しゅう  「全部だ全部!!!」

ほのか  「はぁ……あんなの嘘だよ」

しゅう  「はっ? 嘘?」

ほのか  「あそこまでストーキングするわけないじゃん。
      実際に私が見たのは、しゅうが引越ししてるとこだけだもん」

しゅう  「あ、そうなの?」

ほのか  「まぁ、ちょっと脅かしてやろうとは思ったけど。
      そんなに怯えるって思わなくて」

しゅう  「いや、だって目が怖かったから」

ほのか  「……ごめん」

しゅう  「いや……俺が悪かったんだし……いいよ別に」

ほのか  「……私のことキライになった?」

しゅう  「今同棲しようって言っておいてキライになってたら逆にすごいぞ」

ほのか  「……だって若干後悔してるって言った」

しゅう  「あーごめんって。後悔なんてしてないよ。
      一緒に暮らそう。
      寂しい思いさせちゃうかもしれないけど、不安は減るだろ?
      ……一緒にいよう、ずっと」

ほのか  「うん。ずっと一緒?」

しゅう  「ずっと一緒」

ほのか  「……うん」

しゅう  「愛してる」

ほのか  「愛してる」

しゅう  「……なんか照れるな!!!!」

ほのか  「……」

しゅう  「……ほのか?」

ほのか  「……ふっふっふっふ!! よっしゃああああああああああ!!!
      プロポーズ言質ゲットおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

しゅう  「げ、げんち??」

ほのか  「今ずっと一緒にいるって言ったでしょ!?」

しゅう  「言ったけど……」

ほのか  「ふふ、だからずーーーっと、一緒にいようね?」

しゅう  「目が怖ぇ……これが本性なんだな……?」

ほのか  「一緒にい・よ・う・ね!?」

しゅう  「お、おう……」

ほのか  「じゃ、婚約者、ってことで、これからもよろしく〜!」

しゅう  「え、え……なんか騙された気分……」

ほのか  「そうだ。ひとつ言っておくけど、
      次にこういうふざけた真似したら、こんなもんじゃないから気をつけてね?」

しゅう  「いいっ!?」

ほのか  「ま、大事な大事な婚約者を悲しませるような真似はしないだろうけど
      しゅうは前科があるから、一応釘をさしておきまーす」

しゅう  「その釘、絶対五寸釘だろ……」

ほのか  「逃がさないからね?」

しゅう  「ハ、ハイ……逃げません絶対に……逃げられません絶対に……(gkbr)」

ほのか  「ふっふーん、女はチョコのように甘くはないってことよ。Understand?」

しゅう  「誰が上手いこと言えと言ったァ!!!」

ほのか  「ふふふふ、あはははは、あーーーはっはっはっはっは!!!!!!」

しゅう  「どこの魔王だ!!! もういい加減にしろおおおおおおおおお!!!!!!」






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