そうあれかしと月に忍ぶ

作:早川ふう / 所要時間20分 / 0:2

利用規約はこちら。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2014.09.22.


【登場人物紹介】

秋乃(あきの)
  菊乃付きの禿(かむろ)。(※禿とは花魁の世話をする子供)
  売られてきて以来、ずっと菊乃に面倒をみてもらってきた。
  明日新造(しんぞ)となる。(※女郎見習い。客をとりはしないが、座敷にはあがりはじめる)
  明るくよく笑う。年齢は12〜14くらい?
  着物の下に、親からもらったお守りをずっと首から提げている。

菊乃(きくの)
  吉原の小見世(こみせ)の花魁。姐御肌で、面倒見がいい。
  茶屋を通さずとも入れる程度に見世の格が低いので、
  一応花魁と名乗ってはいるが、厳密には花魁より格下ではある。
  教養深く、器量もよく、なぜ小見世にいるのか不思議なほどの遊女。
  その過去は謎に包まれている。


※遊郭とは
  客は、引手茶屋を仲介して、見世に通い、花魁と遊ぶ。
  初回・裏・馴染みと三回通って初めて遊女から名前を呼ばれたり、肌を許してもらえたり。
  金と時間をかけて遊女を口説くのが女遊びの粋というものだったのだが、
  そんな格式ばったことをしているのは大見世のみで、
  中見世・小見世と格が下がるに従って、茶屋を仲介しなくなったり、フリーの客を受け入れたりもする。
  河岸見世にいたっては、蕎麦一杯の値段で遊女が買えるが、病気をもらう確率も高まる。


【配役表】

秋乃・・・
菊乃・・・



秋乃   「今宵は月が綺麗ですねぇ姐さん」

菊乃   「ん? ……そうだねぇ」

秋乃   「明日も晴れそうですね」

菊乃   「雨だと客足も鈍ってお茶挽いちまうからね」

秋乃   「でも、秋乃は、姐さんと一緒にいられた方がいいです」

菊乃   「馬鹿なことを言うんじゃないよ。
      おあしが稼げなきゃ、年季が伸びちまうだろ」

秋乃   「そうですけど」

菊乃   「……ま、今日くらいは泊まり客がいなくてもいいか」

秋乃   「……秋乃は、嬉しいです」

菊乃   「はいはい」

秋乃   「……姐さんは、早く此処から出たいですか」

菊乃   「さぁね」

秋乃   「……」

菊乃   「わからないよ」

秋乃   「え?」

菊乃   「……此処を出てアタシに何ができるのか、わからないからね。
      嫁の貰い手もないだろうし、普通の仕事に就けるのかもあやしいし」

秋乃   「身請け、とか、は?」

菊乃   「あはは! アタシなんざにそんな有り難い話があったらとっくに此処にはいないさ!」

秋乃   「……姐さんは、素敵なひとだと、思います」

菊乃   「そういう口説(くぜつ)は客に使うもんだよ」

秋乃   「いけませんか?」

菊乃   「なんだい、今日はやけに甘えん坊じゃないか。
      緊張しているのかい?」

秋乃   「……少し」

菊乃   「早いもんだね。
      ……あんたがアタシの禿(かむろ)になったのだってそう昔じゃなかったと思うけど」

秋乃   「二年、経ちました」

菊乃   「二年か……そりゃあんたも新造(しんぞ)になるわな」

秋乃   「禿じゃ、なくなるんですよね、……髪も結って……」

菊乃   「ああ。あんたは器量がいいから、綺麗になるよ。
      まだすぐ客をとるわけじゃないけど……もう童(わらし)じゃないねぇ」

秋乃   「……すぐ客をとるわけじゃないって言っても、しばらくしたら、そうなるんですよね」

菊乃   「そりゃそうさ。此処は女郎部屋だもの」

秋乃   「……でも姐さんは花魁じゃないですか」

菊乃   「だから?」

秋乃   「……最初から肌を許さないのが、花魁なんでしょう?」

菊乃   「ああ……初回、裏、馴染み、って?
      こんな小見世(こみせ)でそこまで守っても仕方がないけどねぇ。
      所詮アタシはただの女郎だけど、
      アタシに求められてるもんがそうだから、やってるだけさ」

秋乃   「……客をとる、ってどんなかんじですか?」

菊乃   「怖いのかい?」

秋乃   「少しは」

菊乃   「大したことじゃないよ。
      客に夢を見せてやればいいんだ」

秋乃   「夢を?」

菊乃   「吉原は隔離された世界だからね、ここは現実であって現実じゃない。
      だから客はここに夢を見にくるのさ。
      女と枕を交わし、一夜の夢を見る。そして、現実に帰っていく……」

秋乃   「よく、わかりません」

菊乃   「親から貰った名前を捨て、親から教えられた言葉を捨て、
      手練手管の限りを尽くして客から金を引っ張る。
      売られてきたアタシらにゃ、他に金を返せる術は無いからこうする。
      ただそれだけさ」

秋乃   「手練手管……」

菊乃   「そうさ。現実の女には見せられない夢をアタシらは見せてやれる。
      男を桃源郷へ連れていけるのは、アタシらの技があるからさ。
      新造出しが決まって、初めての客をとる前までにはちゃんと教えてやるよ。
      アタシなんかがあんたに教えてやれるのは、あとはそれくらいだろうからね」

秋乃   「そんな! 姐さんは書も上手だし、和歌だって、三味線だって吉原一だと思います!
      秋乃の自慢の姐さんです! 秋乃はまだまだ姐さんの足許にも及びません!」

菊乃   「褒めてくれるのは嬉しいけどねぇ秋乃、
      こんな小見世の花魁なんて、大見世(おおみせ)の新造ほどの価値もないんだよ?
      ただ名前だけなんだから」

秋乃   「……それでも、秋乃は、姐さんの妹分になれて、幸せです」

菊乃   「そうかい?
      しかし廓言葉(くるわことば)を使わない姐女郎なんて、聞いたことないんだけどね」

秋乃   「ちゃんと人前では素敵な花魁じゃないですか」

菊乃   「そりゃぁ、そこは要領よくやるさ」

秋乃   「秋乃も、姐さんのように、頑張ります」

菊乃   「ん。そうしな」

秋乃   「はい」

菊乃   「……」

秋乃   「……新造になっても、妹ですよね?」

菊乃   「そりゃそうさ。……姐はずっと姐、妹はずっと妹だよ」

秋乃   「よかった」

菊乃   「……あんた、覚えてるかい。
      初めて、アタシがあんたと会ったときのこと」

秋乃   「もちろんです。
      売られてきたその日、空腹に勝てず、
      汚い体のまま貪るようにごはんを食べてた時ですね」

菊乃   「……痣だらけだったね、あんたは」

秋乃   「……そうでしたっけ」

菊乃   「アタシもそうだったからわかるんだ。
      酷い親だったろうに……あんたは親から持たされたお守りをずっと首から提げて
      健気でねぇ……柄にもなく同情しちまったんだろうねアタシは」

秋乃   「同情……」

菊乃   「まだ持ってるんだろ、あのお守り」

秋乃   「……どうしても、捨てられなくて」

菊乃   「そう」

秋乃   「はい」

菊乃   「はは、あのあと湯で泥をおとしてみたら、あまりにも器量よしで吃驚したっけね」

秋乃   「……ぬか袋で、身体を磨いてくれましたよね」

菊乃   「新調したばっかりだったのに、真っ黒になっちまって、
      あれ、あの一回で使えなくなったんだよぉ」

秋乃   「ご、ごめんなさい」

菊乃   「ふふ、今更いいよ謝らなくても」

秋乃   「……」

菊乃   「でもやっと、あんたも新造だ。
      ……これから花魁になれるかどうかは……あんたの頑張り次第だよ。
      あんたの器量だったら大見世から声がかかるかもしれない」

秋乃   「秋乃はずっと、姐さんと一緒にいたいです」

菊乃   「現実なんて、思った通りにはいかないものさ。
      そうだろ?」

秋乃   「そう……ですけど……」

菊乃   「さて、……明日は髪結いだってあるんだ、早く寝な」

秋乃   「……もう少しだけ……お話してちゃだめですか」

菊乃   「……何をだい」

秋乃   「……何でも、いいんです」

菊乃   「何でもと言われてもねぇ」

秋乃   「……姐さんは、どうして売られてきたんですか?」

菊乃   「……アタシはもともと捨て子でね。
      育ててくれた人たちがいたんだけど……
      どうしてもアタシを此処に入れなきゃいけないって言われたからさ」

秋乃   「借金の形(かた)、ですか」

菊乃   「……仕方が無いさ。育ててもらったんだから、それだけでも感謝しないとね」

秋乃   「秋乃も、……おんなじ、です」

菊乃   「そうだろうね」

秋乃   「……怖かったけど、おとっつぁんはすぐ殴るし……。
      でも、優しいときもあったから……」

菊乃   「おっかさんは?」

秋乃   「いません」

菊乃   「そっか。……実のおとっつぁんがいるってだけでも幸せなのかもね」

秋乃   「はい。……だから、売られても、平気でした。
      おとっつぁんの役にたてるなら、それでいいって……」

菊乃   「……そう」

秋乃   「……でも、姐さんたちを見ていて、思ったんです。
      此処はそんなに昔とかわらないって。
      そりゃ、あったかいごはんとあったかいお布団があるって贅沢なことだけど、
      覚えなきゃいけないことはたくさんあるし、
      仕事だってたくさんあるし……。
      花魁になったら……お客の相手だって……」

菊乃   「そうだねぇ…」

秋乃   「……姐さんだって……此処で、懸命に今を生きてる……」

菊乃   「……およしよ。そんなこと考えたって、意味がないさ」

秋乃   「姐さん……」

菊乃   「……あんたの花魁道中を出してやりたかったねぇ……」

秋乃   「え……」

菊乃   「大見世でもないのに何言ってんだって話だけどさ。
      アタシが育てた妹が、立派な花魁になって、
      年季を無事つとめあげて、此処を出て、幸せに生きる……
      もしそんなことができたならさ……
      アタシの生きてきた意味もあるかなって、思ってたんだ……」

秋乃   「生きてきた、意味……」

菊乃   「でも、アタシも甘かったね……」

秋乃   「え?」

菊乃   「ほんっと、現実なんて、思ったとおりにはいかないもんだから」

秋乃   「……」

菊乃   「ふっ……なんてカオしてるんだい」

秋乃   「姐さん……」

菊乃   「目が潤んでるよ」

秋乃   「え……」

菊乃   「ははは、アタシに情がうつったかい?」

秋乃   「っ……」

菊乃   「アタシがあんたに情がうつってるように……あんたも?」

秋乃   「姐さん?」

菊乃   「……アタシが気付いてないと本気で思ってたなら、甘かったね」

秋乃   「まさか……。いつから……!?」

菊乃   「最初から、さ」

秋乃   「え!?」

菊乃   「あんたの細い腕は、痩せた童(わらし)のそれじゃなかった。
      訓練を受けたからこその細さ、痣……。
      言っただろ、アタシもそうだったからわかる、ってさ」

秋乃   「……知ってて、秋乃を姐さん付きの禿(かむろ)にしてくれたんですか」

菊乃   「まぁね」

秋乃   「どうして!?」

菊乃   「あんたがアタシのそばにいる間に、
      『役目』を気にすることのない時代になればって、……それに賭けたのさ」

秋乃   「賭けた、って……」

菊乃   「……負けちまったけどね」

秋乃   「……姐さん」

菊乃   「できればもう少し、こうしていたかったよ」

秋乃   「秋乃も、そう思います」

菊乃   「……けど、仕方がないね」

秋乃   「……仕方が、ない……ですね……」

菊乃   「どうする?」

秋乃   「え?」

菊乃   「ここで騒ぎを起こすわけにはいかないだろ。
      みんなが起きてきたら大事になる」

秋乃   「何でそんなに落ち着いていられるんですか」

菊乃   「落ち着いてなんかいないさ。なるようにしかならない。
      アタシは腹をくくってるだけだよ」

秋乃   「余裕、ですか。秋乃には、姐さんには勝てないって」

菊乃   「さぁ、どうだろうね。
      アタシも腕に覚えはあるけれど……いかんせん情がうつってるからね」

秋乃   「……それは、秋乃もおんなじです」

菊乃   「アタシら二人して、忍(しのび)失格だね」

秋乃   「……そう、かもしれませんね」

菊乃   「ふふふ」

秋乃   「……」

菊乃   「……秋乃」

秋乃   「……はい」

菊乃   「人ってのは儚いものだね」

秋乃   「醜い、の間違いじゃないんですか」

菊乃   「醜くて愚かだ。だからこそ……懸命に生きた者が損をする。
      儚いじゃないか」

秋乃   「……姐さんらしい、ですね」

菊乃   「……アタシは、よく笑うあんたが好きだったよ」

秋乃   「えっ」

菊乃   「初めて、人として生きることができた気がした」

秋乃   「……姐さん」

菊乃   「……感情を殺し、相手を制し、役目を遂行する。
      それは、女郎も忍もそう変わらないもんだからね」

秋乃   「はい。そう、思いました」

菊乃   「秋乃は……アタシについてどこまで知ってる?」

秋乃   「……そこそこは」

菊乃   「……そう」

秋乃   「……姐さんを消しても、意味が無いことも、わかってます」

菊乃   「ふふ、まぁ、お互い末端だからねぇ」

秋乃   「姐さんだって、秋乃のこと、調べがついてるんじゃないですか」

菊乃   「まぁね」

秋乃   「意地悪」

菊乃   「……お互い様ってことにしといとくれよ」

秋乃   「……っ、どうして……!」

菊乃   「秋乃?」

秋乃   「……秋乃も、姐さんと一緒にいて、初めて、……生きているって気がしました!」

菊乃   「笑顔は嘘をつけない。
      だからアタシはあんたの笑顔が好きだったんだ」

秋乃   「でも……秋乃は、姐さんを……殺さなければいけないっ」

菊乃   「……それがあんたに与えられた役目だ、仕方が無い」

秋乃   「どうして姐さんを……」

菊乃   「情がうつれば、こうなる。
      どうして相手を殺さなければいけないのか、
      相手の命を奪うことに対して、抵抗が生まれる。
      だから幼い頃からアタシらみたいなのは訓練を受けるんだ」

秋乃   「……訓練を受けたって、秋乃は、秋乃は姐さんと一緒にいたいと思いました」

菊乃   「それはアタシも一緒さ。
      あんたの正体がわかっていても、あんたと一緒にいたいと思ったからね」

秋乃   「本当に?」

菊乃   「本当さ。……あんたも本当?」

秋乃   「本当です」

菊乃   「そうかい」

秋乃   「姐さん……秋乃を、秋乃を殺してくれますか」

菊乃   「え?」

秋乃   「失敗すれば死。それはお互い一緒のはずです」

菊乃   「そうだねぇ」

秋乃   「姐さんの手で死にたいと思うのは、我儘ですか」

菊乃   「……いや、そうは思わないよ」

秋乃   「よかった」

菊乃   「けど、何度も言うけど、情がうつってるのはアタシも一緒なんだ。
      ……どうせなら、一緒に死んでほしい、くらいのこと言えないのかい?」

秋乃   「秋乃は、姐さんに生きていてほしい……」

菊乃   「秋乃……」

秋乃   「失敗したのは秋乃です。それでいいんです」

菊乃   「それで、あんたは満足なのかい?」

秋乃   「はい」

菊乃   「……そりゃ、なかなかに我儘だね」

秋乃   「今夜まではまだ姐さんの禿です。我儘でも許してください」

菊乃   「……忍として話をするなら、闘って死にな、と言いたいとこだけどね」

秋乃   「此処でですか」

菊乃   「静かに相手を殺す方法なんていくらでもあるだろう」

秋乃   「……そうですね。……こう、して!」(隠し持っていた糸を巧妙に操り隣の菊乃の首を絞める)

菊乃   「っ!? ぐっ……あっ……」(糸のようなもので首を絞められている)

秋乃   「わざとですか? さっきからずっと隙だらけで!
      わざと秋乃に殺されようとしているとしか思えない!」

菊乃   「さぁ、ね……」(意識が朦朧とする程度で、まだ話せる程度の苦しさ)

秋乃   「抵抗しないのはどうしてですか!
      闘って死ねと姐さんが秋乃に言ったばかりでしょう!」

菊乃   「っ……生きる、のは、あんただよ。
      あたしは、もう、充分に……生きた……からね」

秋乃   「姐さん……!」

菊乃   「あんたこそ何を遠慮してるんだい……
      さあ……あと少しその糸に力を入れれば、……終わるよ……」

秋乃   「それが姐さんの望みですか……!
      秋乃は、秋乃は……姐さんに生きてほしかったのに……!」

菊乃   「可愛い妹……、アタシの最期が……あんたと一緒でよかった」

秋乃   「……姐さんっ……くっっ!!!!」(泣きながら力を込める)

菊乃   「……くっ…あ………っ」(崩れ落ちる)

秋乃   「姐さん……姐さああああああんっっ!!!」


(間)


秋乃    姐さん。
      姐さんは、秋乃に生きてほしいと、言ってくれました。
      でも、ごめんなさい。それはできません。
      本当は姐さんに殺してほしかったけど、
      姐さんが死を望んだから、秋乃がそれを叶えてあげられただけ、
      秋乃は幸せです。
      秋乃は、姐さんとずっと一緒です。
      姐さんの妹として、姐さんと共に、逝きますね。


秋乃   「三途の川で、待っていてください。
      綺麗なところだといいなぁ。
      きっと御歯黒溝(おはぐろどぶ)よりは綺麗ですよね。
      秋乃はずっと、姐さんの妹です。ずっと、ずっと。
      ……(ゴクン)……っ…あ……がはっ……姐さ、ん……」
      (守り袋から丸薬を取り出し、飲み干す。血を吐き絶命)

(間)

菊乃   「……ふぅ。……逝ったか。
      やっぱり守り袋の中身は毒だったね。
      そうだと思ったよ……私とどこまでもおんなじなんだから。
      幸せそうな死に顔だね。
      (口付けて)……ふふ、まだ唇もあたたかい。
      ……私なんかを本気で慕うなんて、ほんと馬鹿な子だよ。
      秋乃……私はあんたを手にかけることはできない。
      でも、あんたに殺されてやるわけにも、
      あんたと死んでやることも、できないんだ。
      私は役目を捨てられない。
      ……堕ちてしまっているのさ。ごめんよ。
      遊女に真(まこと)なしとはよく言ったもんじゃないか。
      はは……ははは……」



秋乃   『姐さん! えへへっ』



菊乃    来てほしく無かったよ、この日だけは。
      せめて、一日でも長く、共にいられたなら……
      そう願い、せめてどこかで何かが変わればと祈ってはいたけれど。

      嗚呼、何故……夜は明けるんだろうね……
      月がこの世を永久に照らし続ければ……或いは……







Index