さよならハッピーエンド

作:早川ふう / 所要時間 5分

利用規約はこちら。少しでも楽しんでいただければ幸いです。2020.08.31.


世の中には、物語があふれている。
それをロマンと呼ぶ人もいるだろう。
それを夢と呼ぶ人もいるだろう。
くだらないと目を背ける人もいれば
すがりつくような人もいるのだろう。

何かに成功するまで頑張っていれば、
経験した失敗や挫折は、ただの過程であって、
無駄ではないのだと、誰かが言った。
最後に笑えればそれでいいと……僕はそうは思えない。

笑って最期を迎えられる人間がとても少ないことを、僕は知っている。
いくら成功したところで、悲惨な最期で終わる人生を僕は沢山見てきたから。
その場合において成功とは、惨劇の過程である。
終わりが悪ければすべてが台無しになる。
世の中には、アンハッピーエンドがあふれているんだ。

だから子供向けの御伽噺にはハッピーエンドが多いのだと思う。
現実が決してそううまくはゆかないと、
先人達にもわかっていたのだろう。
先人達は、人が希望を失わないように、
子供が大人になりたくないと思わないように、
アンハッピーエンドもハッピーエンドに作り変えてきた。
まったくもって滑稽な努力だ。

お姫様は王子様と結婚して幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
さて、物語はそれで終わりなのかな?

どれだけ愛する人ができても、
その気持ちを永遠とすることはできない。
だから人は永遠とする努力を誓うのだ。
努力しあえると互いに信じることができたら
その誓いを契約で縛る、結婚とはそういうものだ。
結婚をしてから始まる二人の生活は?
食べ物の好みや、趣味への理解は?
親の面倒は誰が看る?
日々の生活は努力なくして成り立たない。
愛もまた然り。
僕は、愛に夢をみて、
この努力の日々に幸せを見出せるような人間じゃない。
負け組結構、おひとり様上等。
独身貴族に怖いものなど、何もない。
優雅に歌い、踊ろうじゃないか。

人生の最期に笑えるとは限らない。
だから、今、自分が笑えるものを選ぶことが大切だ。
完璧なお姫様はこの世に存在しない。
自分が王子様になる必要もない。
ただ、僕は僕らしく生きていければ、それでいいじゃないか。

挫折して、あきらめたっていいじゃないか。
挑戦せず、逃げたっていいじゃないか。
努力したくないものを、
無理して頑張らなくたっていいじゃないか。

頑張りたくなったら、
挑戦したくなったら、
努力したくなったら、
きっと誰が止めても、僕はがむしゃらに突き進むから。
僕のペースで生きていてもいいじゃないか。

大多数の幸せと、僕の求める幸せが違ったっていいじゃないか。
幸せを感じる、その気持ちに偽りがなければ
どんな形の幸せだっていいじゃないか。
僕が幸せになってはいけないという法律はないよ。

ハッピーエンドに別れを告げれば、
目の前で扉が開くんだ。
ようこそ、僕の未来。
これからも、どうぞよろしく。





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