漆黒を溶かす白き想い

作:早川ふう / 所要時間 25分 / 比率 2:0

利用規約はこちら。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2016.08.01.


【登場人物紹介】

タクマ
  鬼畜系ツンデレな攻
  不動産関連業の若き社長だったが、今はアキラの秘書となる
  高級男娼館で遊んだ折、客としてきていたアキラの顔を覚えていた

アキラ
  気弱な受
  政治家の息子、将来は跡を継げと言われて反発していたが
  今は跡を継ぐことを受け入れ、たくましくなった


【配役表】

タクマ・・・
アキラ・・・



タクマ   「はあ!!?」

アキラ   「った……耳元で怒鳴らないでくださいよ」

タクマ   「お前が寝ぼけたこと言うからだろう?!」

アキラ   「えー……僕そんなおかしなこと言ったかなあ」

タクマ   「お前の秘書を引き受ける時に俺は言ったぞ。
       甘えたことは許さねぇって」

アキラ   「はい」

タクマ   「お前は嬉しいですっつって了承したよなあ?」

アキラ   「はい」

タクマ   「それがなんだ?
       旅行に行きたい!?
       初めての選挙を控えてるこの時に何のんきなこと考えてんだァ!!」

アキラ   「だってまだ立候補の届けは出してませんから」

タクマ   「あのなぁ!!」

アキラ   「出してしまったら、選挙が始まってしまう。
       そうしたら……もう気軽に出かけられないじゃないですか」

タクマ   「そりゃそーだけどよ……」

アキラ   「父の地盤を受け継ぐと決めた時から、公人になる覚悟はできてます。
       でも、せっかくまたあなたに会えたのに、ずっと仕事ばかりだったでしょう?
       せめて選挙で忙しくなる前に、ちょっとだけゆっくりしたいんですよ」

タクマ   「……ふぅん?」

アキラ   「……」

タクマ   「へぇ……」

アキラ   「な、なんですか……?」

タクマ   「別に?」

アキラ   「別に、っていうふうには見えませんけど」

タクマ   「お前も成長したなあ」

アキラ   「え?」

タクマ   「ゆっくりシたいだなんて、大胆な誘い文句覚えやがって」

アキラ   「えっ、いや、それは」

タクマ   「あれ以来、本当に誰とも遊んでなかったのか?」

アキラ   「遊ぶって……っ、あっ……」

タクマ   「俺以外の男に、ココを触らせたか?」

アキラ   「そ、それ、は……っ」

タクマ   「……その反応だと、触らせたんだな?」

アキラ   「あっ……ごめんなさ……」

タクマ   「別に怒っちゃいねーよ。
       ちゃんと別れたあとのことだろ。
       俺だってまったく男っ気がなかったわけじゃねーし」

アキラ   「え……」

タクマ   「……一丁前に嫉妬か?」

アキラ   「っ……」

タクマ   「相変わらず可愛いやつ」

アキラ   「あ……」

タクマ   「で? こっちも誰かを赦したのか?」(尻に手をやりつつ)

アキラ   「そこは……誰も……」

タクマ   「へぇ……本当に?」

アキラ   「ほんとう、です」

タクマ   「どれどれー……」

アキラ   「痛ッ……」

タクマ   「……成程かたいな。
       自分でするときに後ろを弄ったりもしなかったのか?」

アキラ   「しませんでした……」

タクマ   「どうして?
       欲しかっただろ?
       俺が散々慣らしてやったじゃねえか」

アキラ   「だからです。
       あなたを、忘れたくなくて……」

タクマ   「お前……」

アキラ   「何度も、忘れようと思いました。
       どうして、僕が好きになる人は皆【タクマ】で。
       皆、いなくなってしまうんだろうって……
       もう誰も好きにならない、全部忘れよう、そう思ってました。
       でも……思えば思うほど、忘れられなかった。
       中学の時とは全然違う。
       それで気づいたんです。
       僕は、あなたを忘れたくないんだ、って」

タクマ   「……」

アキラ   「実は、あなたに会いに行く前……
       拓真に……中学の時好きだったヤツに、偶然会いました。
       ……昔のコトを謝ったら、向こうも謝ってくれたんです。
       真剣な気持ちを馬鹿にして悪かったって。
       時間が経っても、想いが伝わることはあるんだってわかったから……
       ちょっと、勇気が出たんです」

タクマ   「……妬けるな」

アキラ   「え?」

タクマ   「そいつと偶然会わなかったら、俺のとこに来ようとは思わなかったんだろ?」

アキラ   「いや、それは、その……結果論っていうか」

タクマ   「それに、俺のことは未だにあなたって呼ぶくせに。
       そいつのことは拓真って呼ぶんじゃねえか」

アキラ   「えっいやっあのっ」

タクマ   「で? 俺のことは?
       これからどう呼ぶつもりなんだよ?」

アキラ   「え……えっと、」

タクマ   「まさか自分の秘書をあなたなんて呼ばねぇよな?」

アキラ   「そうですけど……
       ……や、八重樫、さん?」

タクマ   「苗字にさん付け、まぁ及第点ってところか」

アキラ   「なんか変な感じがします。
       ……苗字って、名前以上に、印象が薄いから」

タクマ   「そんなに印象薄いか?
       そんじょそこらにはいない苗字だろう」

アキラ   「そりゃそういう意味では印象ありますけど!」

タクマ   「……まぁお前は、俺の名前の方をずっと気にしてきたもんな?
       中学時代の大切な思い出に縛られて?」

アキラ   「そんな言い方って、んぅ!!」

タクマ   「(激しく口づけ、ねっとりと唇を離す)
       過去はどうしたって変えられねぇからな……嫉妬もするさ」

アキラ   「嫉妬してくれるんですか……?」

タクマ   「お前、俺のことをなんだと思ってんだ。
       恋人じゃねーのか」

アキラ   「そりゃ、恋人にしてくださいって言ったのは僕ですけど……でもそれは」

タクマ   「覚えとけよ。俺は結構独占欲が強いんだ。
       恋人の手足を拘束して、ずっと閉じ込めておきたいくらいにはな」

アキラ   「っ、はい……」

タクマ   「フッ…………なぁ言えよ。
       お前が欲しいのは、俺なんだろう?
       他の誰でもない、俺なんだろう?」

アキラ   「はいっ、あなたで……んっあ!!」

タクマ   「相変わらず感度がいいな。
       ……いや、昔以上、か?
       誰にその癖つけてもらったんだ?」(首や顔を撫でつつ、口に指をつっこむ)

アキラ   「だれ、も……だれとも……こんなことっ……んぅ……」

タクマ   「でもココは触らせたんだろう?」

アキラ   「……っ、それは……あんっ……あ……イイ……はっ、ん……」

タクマ   「すぐよがって。いやらしいな」

アキラ   「あぁッ……ア……んぅう……」

タクマ   「そんなに素直に啼きやがって。
       ……挿れたらもっと可愛い声が響くんだろうな?
       このアパートは壁が薄いから……きっともう隣には聞こえてるぞ」

アキラ   「えっ……んぅ……」

タクマ   「声抑えろ」

アキラ   「ん……う……っ、は、ア!!」(抑えようとするが、大きな声が出てしまう)

タクマ   「抑えろっつったろ」

アキラ   「だって……あなたがイイところばっかり……あア……触る、から……あ……」

タクマ   「俺以外にも感じてる声を聞いてほしいのか?
       公衆の面前で犯されたいのか変態」

アキラ   「ああんっ」

タクマ   「……そんで?
       もう俺のことをアナタアナタ言いやがって。
       よっぽど俺の恋人にはなりたくないらしいな?」

アキラ   「そういうわけじゃなくてっ」

タクマ   「黙れよ」

アキラ   「っ……」

タクマ   「……従順だな。ああ……俺に飼われたいのか?
       犬?」

アキラ   「んっ……」

タクマ   「それとも奴隷か?」

アキラ   「……どちらでも、いい……」

タクマ   「なに?」

アキラ   「あなたに飼ってもらえるなら、なんにでもなる……」

タクマ   「……なら脱げ」

アキラ   「え」

タクマ   「服も下着も、お前には必要ない。
       裸で跪け」

アキラ   「……」

(そろそろと服を脱ぎだすアキラ。タクマ、すかさずアキラの頬に平手)

アキラ   「っ!」

タクマ   「返事」

アキラ   「はい……」

タクマ   「いい子にしてたら首輪を買ってやる。
       ……俺のものだって証が欲しいだろう?」

アキラ   「……嬉しい、欲しいです」

タクマ   「はっ、そんなんで喜ぶのか? 真性の変態だな」

アキラ   「あなたにもらえるならなんだって……」

タクマ   「奴隷が生意気な口きいてんじゃねえよ。
       ……誰をあなただなんて呼んでんだ? 身の程を知れ」

アキラ   「ごめんなさい……」

タクマ   「……ふぅん……。
       ずいぶん慣れてるな」

アキラ   「え?」

タクマ   「ああ、そういうことか。
       ケツに挿れてないだけで、どっかの男に前を調教してもらっていたんだろう?」

アキラ   「えっ!?」

タクマ   「従順すぎて危うく騙されかけたぜ。
       初めて会った場所があの店な時点で、お察しだよなあ。
       お前は男相手に腰を振るのが大好きなんだから」

アキラ   「ちが……ちがいますっ」

タクマ   「黙れ」

アキラ   「……」

タクマ   「その口で何本咥えた?
       ザーメンまみれにされて悦んでたんだろう?」

アキラ   「そんなことっ」

タクマ   「(問答無用で強く平手)口答えするな。
       ……黙れと言ったろう、もう忘れたのか?」

アキラ   「……」

タクマ   「……こんなに聳り立たせて。
       俺に詰られ殴られ、興奮してるんだなぁ……」

アキラ   「っ……」

タクマ   「お前がそんなに悦ぶんじゃ、手加減しねぇぞ。
       俺は元来Sなんだ。
       お前が壊れるまで抱き潰してやる」

アキラ   「……壊して。
       アナタに壊されたいっ」

タクマ   「くそっ……!」

アキラ   「あっあんっ!」

タクマ   「よがりやがって」

アキラ   「痛ッ……あああっ」

タクマ   「痛いだけか? 違うだろう?」

アキラ   「イタっ……苦し……ああああっんっ、……い、……イイっ」

タクマ   「気持ちいいか」

アキラ   「気持ちイイ、ですっ……」

タクマ   「相変わらず淫乱だ。
       なら、ほぐすまでもない。
       前言通り、壊すぞ、アキラ」

アキラ   「あっ、いやあああっああああああああああああああっ!!!!」

(間)

タクマ   「ったく、ほんとに手加減できなかった。
       ……俺もまだ若いな。
       ……おい、動くなよ、手当てするから。ちょっと滲みるぞ」

アキラ   「いたあっ!!」

タクマ   「滲みるっつったろーが」

アキラ   「……だ、だいじょぶです、ごめんなさい」

タクマ   「謝るのは俺だろ。乱暴にして悪かった。明日熱出るかもしれねーぞ」

アキラ   「いいんです。
       あなたが乱暴にすればするほど、求められてるって感じられて嬉しい」

タクマ   「……お前ほんっと……そういう体質なんだな」

アキラ   「……呆れますか?」

タクマ   「まあな」

アキラ   「……」

タクマ   「……呆れてんのは俺自身にだよ」

アキラ   「え?」

タクマ   「お前がそういうヤツだってのは、昔わかってたはずだったんだ。
       なんつーか……全身で恋愛するタイプっつーか……ぶつかってくるタイプっつーか。
       お前の気持ちには気づいてたしな。
       俺だって……お前といるのが居心地よかったから、ずっと続けてたんだから」

アキラ   「……えっ……それって……」

タクマ   「今回だって、打算でお前の申し出を受けたわけじゃねぇからな。
       別に極貧生活も慣れてたし、バイトも苦じゃなかった。
       けど……お前が突然目の前に現れて、……俺だって嬉しかったんだよ」

アキラ   「……っ……」

タクマ   「何で泣くんだ……」

アキラ   「だって嬉しいから……ずっと好きだったって言ったじゃないですか」

タクマ   「それに、こうやってお前を抱けるなら、このボロアパートに住んでてよかったと思うし、
       ……引き払う必要もねぇかなと思ったりな」

アキラ   「……一緒にいたいけど、あなたがそう言うなら、引っ越ししないでおきます……?」

タクマ   「ここでまた抱かれたいか?」

アキラ   「……それも、ありですけど」

タクマ   「それか……そうだなあ。
       きったねぇ公衆トイレでヤったり、公園の茂みで誰かに見せつけながらでもいいな。
       複数プレイはどうだ。
       俺以外の誰かに無理やり犯されて腰ふるお前のカオはどんなだろうな」

アキラ   「や、それは……ほかの人は嫌ですっ……」

タクマ   「しねーよ。大体公人になったらそれもできねぇだろ。
       でもまあ、ここでただの男に戻って抱き合うだけならできるだろうからな」

アキラ   「……もしかして、僕が公人になったあとのことを、心配してくれてるんですか」

タクマ   「……心配ってほどじゃあねぇけど」

アキラ   「口じゃあ怖いこと言ってても、やっぱり優しい人なんですね」

タクマ   「うるせえ」

アキラ   「じゃあノりましょうか?
       複数プレイしたいって言ったら、誰か連れてきてくれるんですよね。
       僕を共有してもいいとあなたが思えるほどの誰かが、本当にいるのなら、いいですけど」

タクマ   「……くそ、分が悪い」

アキラ   「ふふ、独占欲強いくせに、心にもないこと言うからですよ。
       僕の心配を素直にしてくれてれば、こうはならなかったのに」

タクマ   「っとに、身体も頭も成長しやがったな……」

アキラ   「身体も?」

タクマ   「……お前の身体、昔は細くてガキくさかったけど、
       今はもう立派なオスだって話」

アキラ   「ジムで鍛えてるんですよ。
       ……あなたみたいな体に憧れたからなんですけど」

タクマ   「なんだよ、それも俺なのか」

アキラ   「だって……」

タクマ   「可愛いよ」

アキラ   「……なんか、……照れますね素直に言われると!!」

タクマ   「人に素直を強要しておいてお前……」

アキラ   「でも、嬉しいです。
       もう僕死んでもいいっ」

タクマ   「バカ死なせねーよ」

アキラ   「えへへ」

タクマ   「……当選したら、祝勝会やんだろ。
       そしたらトイレに連れ込んで今度は最後までシよう。
       でも一回だけだ。
       あとはどんなにねだっても、おあずけ。
       パーティーが終わったら、またここで、朝まで抱きつぶしてやる。
       これなら、お気に召すだろうお姫様」

アキラ   「お姫様って……!」

タクマ   「こういうの好きだろアキラ?」

アキラ   「ずるい……」

タクマ   「好きだろ?」

アキラ   「はい……」

タクマ   「淫乱」

アキラ   「うう……」

タクマ   「……あー……そういやお前、どこ行きたいんだ?」

アキラ   「え?」

タクマ   「旅行、最初そういう話だったろ」

アキラ   「ああ……あなたt」

タクマ   「あなたと行けるならどこへでも、は禁止」

アキラ   「なんでわかったんですか!?」

タクマ   「むしろお前はわかりやすすぎる」

アキラ   「えー……」

タクマ   「あと、あなた呼びもどうにかしろ」

アキラ   「……え……ご主人様?」

タクマ   「おっまえ!! 秘書をご主人様って呼ぶ気か!!!」

アキラ   「冗談ですよ、八重樫さん」

タクマ   「ん。よし」

アキラ   「旅行先、考えておきます」

タクマ   「なるべく早めにな。スケジュール調整してやるから」

アキラ   「はいっお願いします」

タクマ   「……アキラ」

アキラ   「はい?」

タクマ   「………………好きだよ」

アキラ   「……はいっ。僕も、大好きです!!」







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