きっと、報われない

作:早川ふう / 所要時間20分 / 2:0

利用規約はこちら。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2021.05.14


【登場人物紹介】

長谷川奏太(はせがわ かなた)

 大学生。成人済。一人暮らしをしている。
 周囲にカミングアウトしているわけではないが、大学で有起哉と一緒にいることで
 もしかしたらあいつもそうなんじゃね的な噂にはなっている。
 高校の頃、淡い片思い相手の有起哉と運よく付き合えた、と思いきや
 有起哉の噂と本性を知り、幻滅して即破局。
 別れているが縁は切れず、今もセフレ的関係が続いている。
 真面目。こうと決めたらこうなんだという堅物思考。


本庄有起哉(ほんじょう ゆきや)

 大学生。成人済。実家暮らしだが、そんなに家には帰っていないらしい。
 周囲にもゲイだとオープンにしており、性には奔放。
 自他ともに認める経験豊富なビッチ。
 高校のころからハッテン場的なところにも行っており、男を切らしたことがないらしい。
 気に入った男と一晩限りの関係はザラで、セフレも複数、
 ただし決まった相手は作らない、という噂。
 周囲に何を言われているかわかっていないわけではないが、気にしない。
 明るい性格で、人懐っこく、可愛らしい。



【配役表】

奏太・・・
有起哉・・・



(大学構内)

有起哉 「かーなーたっ」

奏太  「有起哉。どうしたの」

有起哉 「別に。どうってわけでもないんだけど、一緒に帰りたいなーって思って。
     このあとってバイトある?」

奏太  「今日はないけど……有起哉の家、逆方向じゃん」

有起哉 「そう! だからたまにしか一緒にいられないじゃん?
     今日は奏太と一緒にいたい気分なんだよー」

奏太  「一緒にいたい気分なんてあるのか?」

有起哉 「奏太のとこで家飲みとかしたいなあ~」

奏太  「家飲みかぁ」

有起哉 「バイト代入ったばっかりだから、お酒でもおつまみでも俺が何でも買うから!
     だから、ね! お願い!」

奏太  「だから泊まっていいか、って聞こえるんだけど気のせいか?」

有起哉 「んふふ、だめ?」

奏太  「……別に、だめじゃないけどさ」

有起哉 「わーい、だから奏太ってスキー!」



奏太   本庄有起哉とは高校から仲良く……なったとは言いたくないな。
     腐れ縁というほどでもないけど、人様に大声で言える関係でもない。
     友達以上恋人未満、いわゆる、セフレというやつなんだと思う。



(奏太の家。来て早々なぜかベッドの上にいる。有起哉が奏太を押し倒しているような格好)

奏太  「ったく、しょうがねぇよな」

有起哉 「え、何がしょうがないの?」

奏太  「飲むんじゃなかったのか?」

有起哉 「えー飲むよ。一回シてからね……ちゅっ(軽く口づける)」

奏太  「待て……せめて冷蔵庫に買ってきたもん入れさせろよ」

有起哉 「やだー挿れさせろだなんてーーー大胆なんだからー!」

奏太  「漢字が違うだろ馬鹿野郎」

有起哉 「えー嬉しかったからこっちにしておいてよぉ」

奏太  「嬉しいのか?」

有起哉 「だって、奏太がちょっと強引に迫ってくれる感じがして、すごくときめいちゃった」

奏太  「へー」

有起哉 「あっ信じてないなぁ?」

奏太  「今強引に迫ってるのはどっちかってーとお前だろ」

有起哉 「ああ確かに」

奏太  「それに今更お前が俺にときめくかっての」

有起哉 「ひどい! 俺が奏太のこと考えるだけでいつもどれだけ切なくなってるか!」

奏太  「俺が他の男共と違ってお前に媚びないのが不満なだけだろ。
     持ち上げてほしけりゃ他行けってんだ」

有起哉 「二人でいる時に他の男の話題は禁句ですー!
     ほーんとデリカシーないんだからっ」

奏太  「別に俺たちは恋人でも何でもないだろうがっ!
     お前に何人彼氏がいようが構わないけど、俺を揉め事には巻き込むなよ絶対!」

有起哉 「彼氏なんていないもん、心配ご無用!」

奏太  「ああそいつは失礼。
     お前みたいなビッチに特定の恋人がいるはずなかったな!」

有起哉 「ひどい! 俺ビッチじゃない!」

奏太  「男なら誰とでも簡単に寝る、セックス大好き、立派なビッチ」

有起哉 「別に誰とでもってわけじゃないよ、好みだってあるし」

奏太  「あーそうかよ。興味ないね」

有起哉 「奏太は、俺とするの嫌い?」

奏太  「別に嫌いじゃない」

有起哉 「えへ、嬉しい」

奏太  「嫌がってたら、まずお前との縁を切ってるだろ」

有起哉 「じゃあ、俺とするの、好き?」

奏太  「……好きってほどでもないな」

有起哉 「えーーー! 気持ちよくないの!?」

奏太  「いや別にそういうわけじゃ」

有起哉 「じゃあ気持ちいい?」

奏太  「……そりゃあな」

有起哉 「よかった。じゃあいっぱい気持ちよくなろ?
     いっぱいイっていいからね。俺もいっぱいイく!」

奏太  「何の宣言だそりゃ」

有起哉 「だーって、奏太とどんだけシてなかったと思ってんのさ。
     すごく溜まってんの!」

奏太  「嘘つけ。俺以外ともヤりまくりなくせに」

有起哉 「奏太が足りないって言ってるのにぃ」

奏太  「はいはいそりゃどーも」



有起哉  長谷川奏太とは、高校の頃からずっとこんな感じ。
     同じ性的嗜好を持ちながら、カミングアウトも男漁りもせず、上品に生きてる奏太。
     俺と正反対だから、気が合うのかもしれない。
     おっと、訂正。身体の相性も、ものすごーく合います。


(最初からクライマックス。一回目)

有起哉 「あっ…………!!!」(達する)

奏太  「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

(事後。脱力する奏太)

奏太  「はぁ……」

有起哉 「……ねえ」

奏太  「ん?」

有起哉 「(口づける)」

奏太  「ん、……ん、ちょ、ちょっと、まて」

有起哉 「やだ」

奏太  「なんで」

有起哉 「もっと」

奏太  「一回シただろ」

有起哉 「やだ、もっと……」

奏太  「酒は!? 飲むんじゃなかったのか!?」

有起哉 「だってもっとシたいんだもん」

奏太  「何だよ、まだ満足しないのか」

有起哉 「足りないー。奏太は足りるの? もう満足?」

奏太  「……そんな目で見るなよ」

有起哉 「ねーえー。シよ? ね? シたいなー。ね?」

奏太  「……そういう時だけ可愛くねだるの、ずるくね」

有起哉 「えー? 奏太の前ではいつも可愛くしてるつもりだよ」

奏太  「……それはちょっとうざいな」

有起哉 「ひどい!」

奏太  「嘘。そこそこ可愛いよ」(愛撫開始)

有起哉 「えへへ。……あっ、……そこ、……気持ちいい、もっと……」

奏太  「シてる時はほんと素直だし、まぁ可愛いんじゃない?」

有起哉 「俺可愛い? ……俺のこと好き?」

奏太  「それとこれとは別」

有起哉 「ケチ」

奏太  「ケチじゃねーだろ別に」(噛む)

有起哉 「いたっ」

奏太  「お仕置き」

有起哉 「いじわる」

奏太  「いじわる好きだろ?」

有起哉 「……ばか。すき」

奏太  「変態」

有起哉 「あっ……、あっ、あんっ」

奏太  「敏感だな」

有起哉 「あ、ちが、だって、あ……奏太が……」

奏太  「俺が? 何?」

有起哉 「あっ、ん、ぅ、気持ちいいこと、するからぁ……」

奏太  「……あ。そっか」

有起哉 「な、なに……?」

奏太  「お前、今日誰かとシたの?
     授業の空き時間あったもんな」

有起哉 「な、なんで……あっ、ああっ」

奏太  「さっきもめっちゃすんなり挿入ったし、
     今もすげー敏感だし。
     もしかして、俺今日二本目だったりするの?」

有起哉 「そんな、こと、な……あッ」

奏太  「正直に言って」

有起哉 「だめっ、それだめっやだっ、すぐイっちゃうから、だめっ」

奏太  「大丈夫、ちゃんと言わないうちはイかせないから」

有起哉 「や、やだぁ、あっ、おかしくなっちゃう」

奏太  「だから言えばいいじゃん。昼間他のヤツとシたんだろ?」

有起哉 「シてな、……ぁあ!」

奏太  「それで満足できなかったんじゃないの? それとも時間切れだった?
     その相手は今夜は空いてなくて。それで俺を誘った?」

有起哉 「そんなっ、こと、しな、い……」

奏太  「どうだか」

有起哉 「あ、あっ、あ……」

奏太  「目が合って笑ったらクルージングオッケー、すげー安いのに可愛くていい身体。
     その界隈ではお前の名前は有名なんだってなあ?
     ま、俺はその界隈の知識はないし、そんな噂すら知らなかったわけだけど」

有起哉 「ごめ、ん……」

奏太  「認めたな」

有起哉 「あああっ! う、んぅ、あ、……ちが、ちがう……」

奏太  「違う? じゃあずっとこのままかな」

有起哉 「やだぁ……やだ、おかしくなる、だめえっ」

奏太  「我儘だね」

有起哉 「やだぁやだぁっ、もうやだぁっ」

奏太  「……仕方ないからまた挿れてやる。
     でも勝手にイっちゃだめ。わかった?」

有起哉 「そんなのっ……」

奏太  「じゃあ挿れない」

有起哉 「やだぁ……」

奏太  「どっちにするの? 挿れる? 挿れない?」

有起哉 「……、いれて……」

奏太  「じゃあイくなよ?」

有起哉 「う、はい……」

奏太  「(挿入しようとして)くっ……ちょ、おい、そんな締めてどーすんだよ」

有起哉 「だってイっちゃダメって言うから!!」

奏太  「力抜けって」

有起哉 「そしたらイっちゃうもん!」

奏太  「頑張れ」

有起哉 「ひどいっ」

奏太  「ほら、いいから……(口づける)」

有起哉 「ん、ん、……んぅ……」

奏太  「ほ、ら!」(力の抜けたところで一気に挿入する)

有起哉 「あっあああーあああああああーーーー!!!」

奏太  「……っ、……あ……すっげ。有起哉ナカだけでイったね」

有起哉 「あっあっ、あああっ、や、やあっあっあっあっ、あっあっ」(イキっぱなし)

奏太  「あーあ。壊れたなこりゃ」

有起哉 「動いてぇ、突いて、もっとぉ!」

奏太  「……仰せのままに、お姫様」

有起哉 「あっ、あっ、奏太っ、奏太ぁっ、奏太ぁああっ」

奏太  「すげぇ喜んでんじゃん。俺の喰いちぎられそう」

有起哉 「わかんな、い、そんなのっ」

奏太  「有起哉の、ナカ、最高に、気持ちいい」

有起哉 「あっ、おっきく、な、ああああっやだ、あ、あっ、
     イ、き、た、いぃあっ、あっ、お、願い、放し、てぇ……」

奏太  「俺以外の男ともうシないなら放すよ」

有起哉 「……そ、そんな、の、む、り……」

奏太  「……ビッチ」(噛みつく)

有起哉 「あ゛ぁぁぁっ!!」

奏太  「……背中に跡ついてる。昼間の男は相当に嫉妬深そうだぞ」

有起哉 「ご、ごめんな、さ…あっあああーーっ!」

奏太  「修羅場はごめんだ、わかってるよな」

有起哉 「そんな、こと、なんない、からっ」

奏太  「……信じられるかよくそが」

有起哉 「……ごめんな、さい」

奏太  「ったくふざけてる」

有起哉 「……え、」

奏太  「俺以外受け入れられねぇ身体になればいいのに」

有起哉 「嬉しい。そうなりたいなあ」

奏太  「心にもねぇこと言うなよ、みじめだろ」

有起哉 「……じゃあ思いっきりイかせて。
     奏太のでイきたい。奏太でいっぱいにしてよ」

奏太  「クソビッチ」

有起哉 「だって……これが俺だもん」

奏太  「……そんな泣きそうな顔すんじゃねぇよ」

有起哉 「してないよ」

奏太  「ほんと、アホ」

有起哉 「奏太? え? ……シないの?」

奏太  「……する気失せた」

有起哉 「そんなの嫌。……もう一回その気になってよ」

奏太  「他あたれよ」

有起哉 「何でそんなこと言うの。
     奏太以外受け入れない身体にしてくれるんじゃないの?」

奏太  「無理なのはわかってんだよ」

有起哉 「そんなの、奏太次第だもん」

奏太  「お前の性欲に付き合ってたら廃人になる」

有起哉 「俺の為に廃人になってよ」

奏太  「……それでお前が俺だけのものになるなら喜んでなるけど」

有起哉 「……」

奏太  「……無理だろ、どうせ」

有起哉 「……無理、かもね」

奏太  「……俺はアホじゃねえから」

有起哉 「……ひどいな。俺はアホなの?」

奏太  「そう言ったろ」

有起哉 「そうだったね」

奏太  「……お前がそうやって笑うから。俺はいつまでもお前から離れられないんだ」

有起哉 「俺のせい?」

奏太  「ほんと、俺もツイてないよ。初めて付き合った男がお前みたいなビッチでさ。
     遊ばれてるだけだったなんて、今でも信じたくねえ」

有起哉 「俺に遊ばれてるってわかってても、俺と寝るのはどうして?」

奏太  「それをお前が訊くのか?」

有起哉 「……ごめん」

奏太  「むしろ、俺の気持ちわかってても、俺と寝るお前の神経が謎」

有起哉 「んふふ、俺のこと欲しいって言ってくれるなら、誰でもおんなじだもん」

奏太  「……風呂で頭冷やしてくる」

有起哉 「フェラしてもいい?」

奏太  「俺は風呂って言ったんだけど?」

有起哉 「俺はもう一度その気になってって言ったよね」

奏太  「……っ、や、やめろ」

有起哉 「(咥えながら)なんで、だめなの」

奏太  「っ、あ、あ……」

有起哉 「気持ちいい、でしょ?」(舐めながら)

奏太  「くそ、が」

有起哉 「奏太の気持ちいいとこ、全部知ってるよ」

奏太  「っ、あ……」

有起哉 「また俺に挿れたくなったでしょ」

奏太  「う……」

有起哉 「俺が欲しいでしょ。欲しいって言ってよ」

奏太  「有起哉……」

有起哉 「好きだよ、奏太。大好き」

奏太  「嘘、つくな……」

有起哉 「愛してる」

奏太  「やめろっ」

有起哉 「だから、俺に頂戴。全部。全部」

奏太  「乗っかんな……くっ、……」

有起哉 「おっきぃ……気持ちいいよ奏太」

奏太  「くっそ」

有起哉 「奏太のって、根本太いから、騎乗位だと、なかなか全部入らないよね」

奏太  「お前そういうとこだよ」

有起哉 「え?」

奏太  「誰と比べてんだ、よ!」

有起哉 「アッ、ああああああああっ……!!」

奏太  「切れたか?」

有起哉 「いい! 気持ちいい! すっごいイイの!
     奏太! もっと、もっと突いてぇ!!」

奏太  「って言いながら腰振って誘うのエロすぎ。マジでビッチだよな」

有起哉 「奏太ァ……」

奏太  「ほんと……、アホだよお前は」

有起哉 「あっあっ、ああっ、気持ちい、あ、あっ、イくっイっちゃう!」

奏太  「アホは俺か。……くそ、俺も、……出るっ」

有起哉 「出して、出してぇ……」

奏太  「搾り取ろうとすんなビッチ!」

有起哉 「ああああああっ!!!」

奏太  「くっ、……ん……」

有起哉 「……はぁ、はぁ、はぁ…………うう、イタイ」

奏太  「絶対切れたろ今」

有起哉 「……でもいい。幸せだから」

奏太  「……そうかよ。くそが」

有起哉 「言葉汚いー」

奏太  「お前がビッチなのが悪いんだ」

有起哉 「……ビッチじゃないよ」

奏太  「は? 寝言は寝て言え。……風呂ためてくる」



有起哉 「……ほんとだもん。ばーか。ばか奏太。
     俺がビッチじゃないと、抱いてくれないくせに……」





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