シラユキとヤンキーの女王

作:早川ふう / 所要時間 25分 / 比率 2:3

利用規約はこちら。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2014.09.30.


【登場人物紹介】

白雪姫
  言わずと知れた「白雪姫」の主人公。
  クールビューティー。
  劇中で、アナ雪主題歌のエルサver.歌います。

女王
  言わずと知れた「白雪姫」の意地悪な母親。
  しかし何故か元ヤン、というか現役で総長なんじゃないかというカンジ。
  劇中で、アナ雪主題歌のエルサver.歌います。


  言わずと知れた、「白雪姫」の女王が使う鏡。
  総長に従う下っ端感半端ない。
  劇中で、アナ雪主題歌のエルサver.歌います。

狩人
  白雪姫を殺そうとする殺し屋なのだが、失敗したので、転職します。
  劇中で、狩人「あずさ2号」、白雪姫挿入歌「ハイ・ホー」、
  THE 虎舞竜「ロード」、B'z「ultra soul」を歌います。

語り手
  ナレーターなのに語らせてもらえない不憫キャラだったのだが、なぜか今回大活躍!
  B'z 「ultra soul」を歌います。


【配役表】

白雪姫・・・
女王・・・
鏡・・・
狩人・・・
語り手・・・



語り手  「……はぁ。またわたくしの出番がやってきてしまったのですね……。
      人生諦めが肝心と申します、さぁ、さくっとまいりましょうか!
      皆様、初めての方は初めまして!
      二度目三度目の方はお久しぶりでございます。
      わたくし、なぜかまた物語の語り手を仰せつかりました、
      どうぞよろしくお願い申し上げます!」

白雪姫  「アナタ前置き長いってよく言われない?」

語り手  「すいません……。くそっ、やっぱりこういう運命かっっ……!
      それでは始めていきましょう!
      昔々、一人の心優しく美しい女王様がおりました。
      ちらちら降る雪を眺めながら、窓辺で針仕事をしていた女王様は、
      うっかり自分の指に針を刺してしまいました」

女王   「いってえええええええええ!!!!!
      ったくなんでアタシが針仕事なんかやらなきゃいけねーんだよ!
      仮にも女王だぞ?! メイドがやれ仕事しろおっ!!」

語り手  「こ、心優しき女王様はドコデスカ?」

女王   「ったく、身体冷やすといけねーっつって部屋にとじこめられてよう!
      運動しねーとぶくぶく太って逆に妊娠中毒症になるっつーの!
      しかも産着(うぶぎ)縫わなきゃいけねーとかマジ面倒だし!
      買ってきた方が可愛いのあんだろーがよぉ!!」

語り手  「……身重の女王様は、大変元気で何よりでございました、ハイ」

女王   「そーいや子供の名前どーすっかなー」

語り手  「女王様は、もうすぐ生まれる子供の名前を考えます」

女王   「冬生まれだろー? 聖夜と書いてイブちゃんとか可愛くね!?
      どうだ鏡?」

鏡    「いいですねぇ! もうすぐクリスマスですし!」

女王   「けど、それはありきたりかもしれねぇな……。
      白い羽と書いてエンジェルとか?!」

語り手  「ちょっとまったあああ!! 子供にそんな名前つけたら話進みませんから!
      間違ってもキラキラネームつけないでくださいね?!
      お子さんのお名前は、白雪姫ですから! これ決定事項ですから!!」

女王   「マジかよダッセーなあ」

語り手  「ひど!!!!」

白雪姫  「いいわよ、私の名前なんてどーでも。早く進めて」

語り手  「……クールですね。……でもキライじゃないですその冷たいカンジ」

鏡    「おっ、語り手にそんな性癖が……、メモっとこ」

語り手  「あっすいません何でもないです忘れてください!」

鏡    「さあ続きをどうぞー!」

語り手  「なんかとてつもない失言をした気がしますが、とりあえず置いといて!
      えーと、それから間もなく女王様は、
      雪のように白い肌で、赤い薔薇のように美しいほっぺたを持ち、
      黒檀(こくたん)の窓枠よりも黒々とした美しい髪を持つ女の子を出産しました」

女王   「スリー! ツー! ワン!
      うぉおおりゃああああ!!!!!」

語り手  「……これだいぶ安産だったのでは!?」

女王   「悪ぃかよ?」

語り手  「あの、一応、ここで女王様はお亡くなりになり、
      国王は後妻を迎えるという設定がございまして……」

女王   「はぁ!? そんなのアタシが許すわけねーだろ!?
      アタシ超元気だから、そこんとこ夜露死苦ゥ!!!」

語り手  「そ、そーですか……。ま、実の母親でも、いいか。
      また歌いだされるよりはマシだよな、うん。よし!
      では、話を進めさせていただきますねっ!
      えー、女王様は、世界で一番美しいと謳われる女性であり、
      どんな質問にも答えてくれる魔法の鏡は、いつも女王様を褒め称えておりました」

女王   「おい鏡ぃ!」

鏡    「うっす!」

女王   「世界で一番最強なのは誰だあ!?」

鏡    「そりゃあもちろん……総長です!」

女王   「うっしゃあ!」

鏡    「よっ! 総長世界一ぃぃぃっ!!!!」

語り手  「あのお……女王じゃなくて総長って言ってますよね!?
      レディースですか! 女王様ヤンキーなんですかあ!??」
     
鏡    「うっせーなぁ何か文句あんのかぁ?!」

女王   「おい鏡、カタギにあんますごむんじゃねーぞ」

鏡    「うっす! 今度ナメた口きいたらわかってんだろうなゴルァ!」

語り手  「は、はーい……」

白雪姫  「大丈夫よ語り手さん。
      親がなくとも子は育つわ。ましてや私はこの国の王女。
      乳母や教育係がいるのですから、何も問題はないわ」

語り手  「なんと立派な……! わたくし、涙がちょちょぎれそうでございます」

白雪姫  「いいからさっさと進めなさい」

語り手  「はいっ!
      えー、出産し、ヤンママとなった最強の女王様。
      そして月日は流れ、白雪姫も立派な王女として成長いたしました」

白雪姫  「フッ……当然ね」

語り手  「ああん、クールビューティー!」

白雪姫  「……」

語り手  「そんな冷たい目で……も、もっと見つめてくださいッ!」

鏡    「ドM開花したのか、語り手」

女王   「キモッ」

語り手  「白雪姫は、大きくなるにつれてある意味とても強く賢く成長し、
      城中に冷たい雪のようなクールな笑顔をふりまきました!!!」

白雪姫  「もはや自分の欲望の為に初期設定を無視するようになったのね」

語り手  「ああんっ、蔑まれる斜め下への目線と微笑みがたまらないっ!」

女王   「おい、この場合、誰がツッコミいれてやればいいんだ?」

鏡    「わかんねーっす!」

女王   「とりあえずぅ! 今日もぉ! アタシらが最強ってことでぇ! 夜露死苦!!!」

鏡    「ああああああっ総長おおおおおっ!」

女王   「どうした鏡!」

鏡    「白雪マジ調子乗ってますぜ!」

女王   「なんだって!?」

鏡    「総長が世界最強なのは間違いねーっす!
      けど、白雪のクソアマが日増しに勢力を増してきてて、
      このままだとうちらのシマ、荒らされますよ!!」

女王   「白雪……産んでやった恩も忘れてえええええっ」

鏡    「どうします!?」

女王   「……奇襲をかけるよ! 娘だからって容赦しねー!」

語り手  「おーっと白雪姫大ピンチ! 娘に嫉妬した母親が、大暴走だああああっ!
      気をつけてください白雪姫えええっ」

白雪姫  「ずいぶんと私に肩入れするのね。
      何、そんなに構ってほしいわけ?」

語り手  「あっそんなっ滅相もないっ」

白雪姫  「ふふん、ま、せいぜい頑張るのね」

語り手  「はいいいいいっ(至福)
      さて、女王は、家来の狩人を呼んで命令をしました」

女王   「近頃調子にのってる白雪のクソアマを闇討ちだ! わかったか!」

狩人   「……いいのかよ。俺様は殺し屋だぜ? 痛めつけるだけじゃすまねぇぞ」

鏡    「世継ぎである白雪を殺しちまうのはさすがに体裁的にまずいんじゃ……?」

女王   「いや、シマを荒らすヤツは許さねェ! これは族の掟だァ!」

鏡    「ウッス!!」

狩人   「くっくっく、なぶり殺しても、いいんだな?」

女王   「かまわねぇ! 思いっきりやっちまえ!」

狩人   「了解した」

語り手  「ああっ、なんて酷い母親!!!!」

白雪姫  「今に始まったことじゃないわ」

語り手  「白雪姫っ、せめてわたくしだけはアナタの味方です、いつまでも!」

白雪姫  「別に嬉しくないから。さあ、話を進めなさい」

語り手  「はいっ! さて、狩人……だったはずの殺し屋は、白雪姫に奇襲をしかける……?
      どうやるんでしょう? だってほんとは、森に連れ出す設定……あれ?」

狩人   「お嬢ちゃん」

白雪姫  「ん?」

狩人   「城の中は退屈じゃねぇか?」

白雪姫  「そうね、それなりには」

狩人   「俺様が新しい世界を見せてやるよ。一緒に行こうぜ、外の世界へ」

白雪姫  「ふふ、面白そうね、行ってあげてもいいわ」

狩人   「よし決まりだ」

白雪姫  「それで貴方は誰?」

狩人   「俺様は殺しy……じゃねぇな、あー、狩人だ」

白雪姫  「か、狩人ですって!? あのやたらと仲の悪い兄弟デュオの狩人!?
      ベストテンの楽屋で、出番のすぐ前まで殴りあいの喧嘩をしていた、あの狩人!?」

狩人   「はっ!? え!? なんだって!?」

語り手  「……え、白雪姫テンション高い。狩人に食いつきすぎなんですけど?!」

白雪姫  「貴方は兄!? それとも弟!?」

狩人   「さ、さぁな、それはお嬢さんの想像にお任せするっ」

白雪姫  「じゃ、一緒に行く前に、歌ってもらいましょうか。
      貴方、狩人なんでしょう?」

狩人   「ええっ?! ま、マジかよ……!」

白雪姫  「私毎日退屈なのよ、さあ、早く」

狩人   「くっそ……これも仕事の為だ!
      ♪八時ちょうどのおおお あずさ2号でえええええっ
       わたしはわたしはあっなったっかっらっ (ダァン)
       たーびーだーちいいいいいいいますううううううううううううう♪」(♪ 狩人/あずさ2号 サビ)

白雪姫  「じゃあ私からさっさと旅立ってちょうだいね、さようなら」

狩人   「えーーーーーーっ!?」

語り手  「な、なるほど! さすが白雪姫!
      こういうあしらい方なんですね、羨ましい!
      あっ……いえ。
      えー、白雪姫暗殺に失敗した女王様は、大層悔しがりました」

女王   「あのクソアマ! ぜってぇ許さネェ!」

鏡    「あの殺し屋も役に立ちませんね! 報酬後払いにしといてよかったぁ!」

語り手  「しかし、白雪姫が森に行かなきゃ話が進みませんので、
      白雪姫……僭越ながら、わたくしとデートなんぞいかがでしょうか」

白雪姫  「あら、いいわよ」

語り手  「マぁジでえええええええええええええええ!?
      いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおう!!!!!!!!!!!」

女王   「お? なんか語り手の野郎が協力してくれたみたいだな」

鏡    「あいつ、そこそこ使える野郎なんすね!」

語り手  「こうして! 森へやってきた白雪姫です! はい!」

白雪姫  「それで? どうすればいいわけ?」

語り手  「えーっと……このあと貴女は森へ置き去りにされてしまって、
      それで小人の家にたどりつくんですけど……」

白雪姫  「何。貴方この私をデートに誘っておいて、一人で帰るつもり?」

語り手  「ああああああっすいませんすいません! そんなつもりはああっ」

白雪姫  「小人の家ってあそこね。あそこに行っていいんでしょう?」

語り手  「ええ、まぁそういうことです」

白雪姫  「エスコートしなさい」

語り手  「喜んでぇっ!」

白雪姫  「まぁ、まるで玩具の家みたい。何もかもが小さいのね。
      あら、食事の用意がしてあるわ」

語り手  「白雪姫は、家の中に入ると、
      用意されていた七人分のお皿から少しずつパンやスープを食べました」

白雪姫  「少しずつしかだめなの?(もぐもぐ)
      七人分食べたって一人分にもならないじゃないの(ずずずっ)」

語り手  「ああああ全部食べちゃったああああ……」

白雪姫  「足りはしないけれど、我慢してあげるわ。
      さて、私は少しお昼寝しようっと。あ、ここの家主に挨拶をしておきなさいね」

語り手  「えええええっ!?!?!」

白雪姫  「おやすみ。あ、私の寝顔見たら殺すから。わかったわね?」

語り手  「ああんっ釣れないっ……じゃなくて!
      まぁ、一応話の流れはあってるんでいいか……。
      お腹いっぱいになった白雪姫は、ベッドで眠りにつきました。
      そして、夜になり、この小さな家の主人たちが帰ってきました」

狩人   「♪ハイホー ハイホー こえーをそーろーえー……  あれっ!?」(♪白雪姫挿入歌/ハイ・ホー)

語り手  「あれっ!? 狩人、もとい殺し屋さん!? なぜここに?」

狩人   「いや、あの、なんか殺し屋に自信失くしたから、今炭鉱の面接受けてきたんだ。
      一応ここに住んでるんだけどな」

語り手  「えっでもこの七人分の食事とか諸々は……」

狩人   「ああ、今子供らはかみさんと実家帰ってんだよな。
      つい癖で用意しちまってたから、食ってくれて助かった……ってああっ?!
      そこに寝てるのは俺様が殺し損ねた白雪姫じゃねえか!?」

語り手  「そうですけど、ああっ、ちょ、ちょっと何するんです!?」

狩人   「ここで会ったが百年目ぇええええええええ!」

語り手  「百年どころかついさっきでしょ!! だめですよ! 話の流れが!」

狩人   「気持ちよさそうに寝やがってこのクソガキ!
      賄いの残りの林檎口につっこんでやらぁ!」

語り手  「ここで林檎の登場!? 強引すぎる!!」

白雪姫  「むぐっ!? んーー!! んーー!!! かはっ……!」

狩人   「……ふっ。白雪姫、討ち取ったりいいいいいいいいいいいいいいいい!」

語り手  「あああああああああああああっ
      わたくしは白雪姫を守れなかったああああああああああっ
      愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけたくなかったのにいいいいっ!」

狩人   「そこ歌えばよかっただろ」

語り手  「いやそれはさすがに」

狩人   「まぁそう言わずに」

語り手  「……話、進めましょう?」

狩人   「……仕方ねぇな。
      とにかく白雪姫は始末したことだし、女王様に褒美をもらいに行くとするかっ!」

語り手  「狩人は意気揚々とお城に戻りました。
      展開が壊れてきたけどいつもよりは壊れてないよな、うん。まだよしとしよう、うん」

狩人   「白雪姫を始末してきたぜ!」

鏡    「マジか!?」

女王   「嘘じゃねぇだろうなあ!?」

狩人   「疑われちゃぁ殺し屋の名がすたるってもんだ」

鏡    「炭鉱に再就職してたんじゃねぇのか?」

狩人   「うるせえ何で知ってるんだよくそっ! とにかく殺したったら殺したんだ!」

女王   「ようしわかった! おい鏡ぃ!」

鏡    「うーーーっす!」

女王   「世界で一番最強なのはぁ! だぁれだあっ!?」

鏡    「そりゃあもちろん総長でえええっす!!!!」

女王   「うっしゃあああああ!!!!」

鏡    「よっ! 総長世界一ぃぃぃっ!!!!」

女王   「おっしゃああああああああ!」

狩人   「……気は済んだか? さあ、成功報酬を払ってくれ」

女王   「おう、何でもやるぜ! ……と言いたいところだがなぁ……」

鏡    「狩人てめぇ、一つ、でけぇミスをおかしてんだよ」

狩人   「ミスだと?」

鏡    「あのな、てめぇがやったことはな?
      ここにいらっしゃる総長の出番を減らしたってことなんだよ!
      お嬢さん、林檎はいかが? っつー有名なシーンがなくなっちまったじゃねえか!」

狩人   「ハッ!!!」

鏡    「それにな、台本には台詞バランスってのもあるからな?
      そこんとこも考えてやってくれねぇと困るんだよ。
      その頭は飾りか!? ああん!?」

狩人   「……くっ」

鏡    「更に言うとな、今の時点で一番台詞少ねぇのこの鏡様だから!
      謝れ。土下座しろ! さあ! 早く!」

狩人   「こ、こんなんやってられっか! クッソ!!!」

鏡    「待ちやがれ!!!!」

女王   「おい鏡。それくらいにしといてやれ」

鏡    「へい……」

女王   「とにかく邪魔な白雪のクソアマはいなくなったんだ!
      これでアタシらの天下なんだからねぇ!
      もっと喜びな!」

鏡    「うぃっす!!!!!!」

女王   「アタシらがぁ!」

鏡    「最強!!!」

女王   「夜露死苦ううううううう!!!!」

鏡    「夜露死苦ううううううう!!!!」

語り手  「……そ、そして、亡くなってしまった白雪姫の元に戻った狩人は、
      無益な殺生をしてしまった自分を責め、むせび泣くのでした」

狩人   「白雪姫……
      ♪何でもないようなことがぁ〜幸せだったと思うぅぅう
       何でもない夜のぉこぉとぉ 二度とは戻れない夜ぅぅぅぅ……」(♪THE虎舞竜/ロード サビ)

白雪姫  「うぇええっほげっほごっほげぇっほ!」

狩人   「へっ!?」

白雪姫  「ん、なんか喉苦しかったような……。ま、いいわ。
      ちょっとうるさいんだけど。
      人が寝てる横で何やってるの? 殺されたいわけ?」

狩人   「し、白雪姫が……生き返った……!」

白雪姫  「何わけのわからないことを……って、あら狩人じゃない。
      ここ貴方の家だったの?」

狩人   「お、おう……ここは俺様の家だが」

白雪姫  「そう、世話になったわね。そろそろお城に帰るわ。
      一応今日は語り手とのデートっていうことで外出してきたんだし」

語り手  「あっ、でも、お城では女王様が白雪姫が死んだと大喜びしてて……」

白雪姫  「まぁ。お母様にも困ったものね。
      ここらでヤキ入れておかないとだめかしら」

狩人   「えっ、ヤキ入れる……?」

語り手  「聞き間違いだと信じたいけど……あれ?」

白雪姫  「さあ、帰りましょう。お城へ」

狩人   「えっまた俺様も行くのか!? 今日何往復目だよ!」

語り手  「こ、こうして……何故かお城で女王様と白雪姫の直接対決と相成りました……。
      あれぇ……どうしてこうなったんだっけえええ!?」

女王   「白雪……! 生きてたのかテメェ!」

鏡    「死んだはずじゃなかったのか!?
      狩人、しくじりやがったな?!」

狩人   「いや、それは俺様にもさっぱり事情がわからないというか、
      偶然っていうかなんていうか!」

女王   「罰として一生パシリだてめぇは!」

鏡    「罰金払え罰金!」

狩人   「なんでだよ!!! 俺様結果的に殺してねぇし、何も悪いことしてねぇだろ!」

白雪姫  「お母様。……私が貴女の地位を脅かすと怯えておいでなのはわかるけれど、
      罪のない狩人を巻き込むなんて、女王として恥ずかしくないの?」

女王   「生意気な! 誰に向かって口聞いてんだゴルァ!」

白雪姫  「もうやめましょう。
      国を大きくしていく為にお母様がどれだけ尽力なさってきたかわかってるわ。
      もうご無理なさらないで。ありのままの、お母様でいいの!」

女王   「ありの、ままの……アタシだと?!」

鏡    「総長……なんか、名曲聴こえてきそうですけど!?」

女王   「フラグか!? これ歌えっつーことか?!」

鏡    「だと思います! フラグですよ!」

語り手  「なんというわかりやすい展開なんでしょうね。
      無理矢理作者がまとめにかかってるのまるわかり!
      大体作者もネタ切れなんだったらこのシリーズ書かなきゃいいのに!」

鏡    「総長……」

白雪姫  「お母様……」

女王   「いや、でも……し、白雪姫……」

白雪姫  「ふふっ……
      ♪ありの〜ままの〜 姿見せ〜るのよ〜」(やさしく)(♪アナ雪主題歌・エルサver.サビ)

鏡    「♪ありの〜ままの〜 自分にな〜る〜の〜」(やさしく)(♪アナ雪主題歌・エルサver.サビ)

女王   「♪なあああにいいいもおおおおおッ こぉわぁくぅぅなあああいいいいっ
       風よおおお吹ぅけぇ〜」(熱唱)(♪アナ雪主題歌・エルサver.サビ)

狩人   「♪そしてぇかぁがぁやぁくウルトラソウッ!!!!」(熱唱)(♪B'z/ultra soul サビ)

語り手  「♪ハァイ!(♪B'z/ultra soul サビ後のアレ)
      ……ってなんでだよ!!!!!!!!!!」

狩人   「え、いや、つい」

語り手  「つい、じゃないでしょう!? どうしてそこでウルトラソウッハァイ! になるの!?」

女王   「語り手もノりやがって……くそっせっかくこのアタシが歌ったのにっっ」

鏡    「見事な ♪ハァイ! だったなァ……?」

語り手  「いや、えっと……それはつい……」

白雪姫  「とにかく、話はまとまったわ。
      これで全てうまくいくわよ」

語り手  「ええっ?! 何も解決してないですよね?!
      ウルトラソウッハァイ! で何がうまくいくんですか!」

鏡    「……言わなきゃわかんねーのか」

女王   「狩人、てめぇまとめろや」

狩人   「えー、こうして、白雪姫は、女王の心を溶かし、
      鏡と助け合いながら、更に国を豊かにしていったのでした、めでたしめでたし。
      つまりこういうことだろ、多分」

語り手  「ええええええええええええっ!?!?!
      何で今回全てがこんなに強引なのおおおおっ!?」

鏡    「タイトルからして、な、しょうがねーよ」

女王   「そうそう。ハッピーエンドなだけマシだろ? 文句あんのかよ?」

語り手  「だって王子が出てこなかったじゃないですかあ!」

狩人   「じゃ、俺様が実は王子だったってことで!」

語り手  「元殺し屋で炭鉱のアルバイトしてる王子ってどんなだよ!!!
      しかも実家に奥さんと子供帰っちゃってるんでしょう!? この甲斐性ナシ!!」

白雪姫  「ごちゃごちゃうるせえええええ!!!!!!!!」

語り手  「えっ!? し、白雪姫!?!?」

白雪姫  「あー猫かぶんのも疲れるよなぁ。やっぱありのままでいるのが一番だ!」

狩人   「やっぱり猫かぶってたのか……」

女王   「アタシの娘なんだ、こんぐらいハクがあって当然だろう!」

鏡    「親子仲良くハッピーエンド、いいじゃないっすか!
      あっそうだ! 乾杯でもしちゃいませんか?!」

女王   「おお! それいいな!」

白雪姫  「おい語り手〜! 酒買ってこいよ!」

狩人   「俺様の分もよろしくな! あとつまみも!」

語り手  「……もう、何も信じられない……!
      夢じゃないあれもこれも……!
      さらば初恋、いとしのクールビューティー……
      ♪ひぃとーりーで泣ーきましょおお そしてーかーがーやーくウルトラソウッ!!」(♪B'z/ultra soul サビ)

全員   「♪ハァイ!!!」(♪B'z/ultra soul サビ後のアレ)

語り手  「ふええええええええん!!!」









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