じゃじゃ馬ラプンツェルの冒険

作:早川ふう / 所要時間 20分 / 比率 2:2

利用規約はこちら。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2013.08.03.


【登場人物紹介】

ラプンツェル
  いわずと知れた主人公。金髪ロングの美少女。ただし性格は勝気。

ゴーテル
  主人公を育てていた老婆。魔女というウワサ。でもほんとは普通の人。

王子
  本来であればラプンツェルと恋に落ちるはずだったどこかの国の王子。ナルシス勘違い野郎。
  劇中でWhitney Houston - I Will Always Love Youを歌います。

語り手
  ナレーターなのに語らせてもらえない。不憫。負けないで。


【配役表】

ラプンツェル・・・
ゴーテル・・・
王子・・・
語り手・・・



語り手    「僭越ながらわたくし、この物語の語り手を務めさせていただきます。
        皆様よろしくお願い申し上げます。
        えー、昔々ある所に、子どもに恵まれない夫婦がおりました。
        夫婦は毎日、神様に子どもをさずけてくださいと祈り続けていたところ、
        やっと奥さんに赤ちゃんがやどり、二人はそれはそれは喜んでおりました」

ラプンツェル 「ほうほう。そんで?」

語り手    「……ゴホン。えー、夫婦の家の隣には広大なラプンツェルの畑があり、」

ラプンツェル 「ねぇねぇ、ラプンツェルって私の名前なんだけど。
        てか、私が埋まってるの? 私がいっぱい? クローン?
        ああ! それともバラバラ殺人?」

語り手    「ちょちょちょちょ! 一気に物騒な話にしないでください! これ一応童話ですからね!?」

ラプンツェル 「だってさぁ、ラプンツェルの畑なんて言ったってさぁ〜
        野菜なの? 果物なの? 穀物なの? なんなの? ってなるじゃん。
        日本人には馴染みなさすぎだもん」

語り手    「確かに!
        あー、ラプンツェルと申しますのは、和名をノヂシャと申す野菜でございまして、
        レタスと訳されることが多いので混同しがちなのですが、
        厳密に言うとレタスではなく……」

ラプンツェル 「ねぇ」

語り手    「はい」

ラプンツェル 「説明長い」

語り手    「……」

ラプンツェル 「大体これって童話なんでしょ? 元は子どもが読む話よね?
        なのになんでそんなにわかりにくいわけ?」

語り手    「そう申されましても……」

ラプンツェル 「まだ主人公の私はおろか、登場人物がしゃべってもいないじゃない」

王子     「あ、僕のことなら気にしなくていいよラプンツェル。
        ちゃんと待ってるから大丈夫さ。
        たとえ君の名が、きゅうりでも大根でもおたんこ茄子でもドテカボチャでも
        僕は君を愛してるから!」

ラプンツェル 「おい最後二つ悪口だろ王子てめぇ」

王子     「ノン! 僕は君がどんな姿でも愛してるって伝えたいんだよ」

ラプンツェル 「……なんなんだろーなこの蹴り飛ばしたくなる衝動は」

語り手    「あの、進めてよろしいでしょうか」

王子     「ああ、失敬。ラプンツェルを愛する気持ちが少し暴走してしまったようだ」

ラプンツェル 「早くしてね、出番まってんだから」

語り手    「は、はい。
        えー、夫婦の家の裏には広大なラプンツェルの畑がありました。
        それを眺めていた奥さんは、どうしても食べたくて仕方がなくなり、
        奥さんは旦那さんに『私、ラプンツェルを食べなきゃ死んでしまうわ』と泣いてせがみました」

ラプンツェル 「は?! わっがままー!」

語り手    「その畑は隣に住む老婆のものでしたが、旦那さんは奥さんとお腹の子の為に、
        老婆のいない隙にラプンツェルを、一束盗んできました」

王子     「愛の為なら禁忌をも破る……素晴らしいね」

ラプンツェル 「えっ嘘。素晴らしいの? ねぇ素晴らしいの?」

語り手    「奥さんはサラダにして食べると、そのあまりの美味しさに、もっともっと食べたくなりました。
        旦那さんは、奥さんにせがまれるまま、何度も何度も、隣の畑からラプンツェルを盗むのでした」

ラプンツェル 「はあ!!? 私の両親どんだけあつかましいのよ!?
        ただの泥棒じゃん!!! 何度も盗むなんてしんっじらんない!!!」

ゴーテル   「まったくだね!!」

ラプンツェル 「あ、おばあちゃん!」

ゴーテル   「だからあたしはあんたを引き取ったんだよ。
        あんな両親に育てられたんじゃかわいそうだろう。
        あたしだったら、間違ってもあんたを人様に迷惑をかけるような娘には、育てないからね」

ラプンツェル 「さっすがおばあちゃん! だいすきー!」

ゴーテル   「ラプンツェルや、お前はいい子だけれど、
        少しおしゃべりを我慢すると、もっといい女になれるよ」

ラプンツェル 「うーん、わかった、気をつけるー」

語り手    「あ、あれ!?
        あの、えっと、設定がちょっと違う気がするんですけども」

ゴーテル   「なんだい、設定って?」

語り手    「えっとですね、設定では、自分の畑を荒らされて怒った隣に住む魔女が、
        窃盗を許すかわりに、生まれた赤子を寄越せって言って、
        その娘にこれみよがしに嫌がらせっぽくラプンツェルなんて名前をつけて…」

ゴーテル   「嫌がらせなんてとんでもない!
        それより、誰が魔女だい失礼だねぇ!
        そりゃあこの時代、結婚もしないでひとりで暮らしてる女っていうと肩身が狭くてね。
        皆からつまはじきにされるし、魔女だなんて噂流されていい迷惑だったけど、
        縁あってこんな可愛い子を育てることになったんだ、
        その縁に感謝して名付けることの、一体なあああにが悪いってんだい、ええ!?」

語り手    「す、すみませんすみません。あの、まことに素晴らしいネーミングセンスで……」

ゴーテル   「そうだろう!? ふふん、わかりゃいいんだよ」

語り手    「はい、ほんと申し訳ありませんでした。……ぅぅ」

王子     「素晴らしい愛に僕は感動で身体が打ち震えるようだよ。
        ラプンツェルのご両親、そしておばあ様! 君は愛に包まれて生まれ育ってきたんだ!」

ラプンツェル 「うぜぇ黙れ」

王子     「……」

ゴーテル   「さっさと続きを話しなさいな、またややこしくなる」

語り手    「はい、すみません!
        えっと、そんなこんなで親元を離れ、ゴーテルに育てられたラプンツェルは、
        村で一番美しい少女と囁かれるほどになりました。
        ゴーテルはふと心配になりました」

ゴーテル   「これだけ美人だと、村のバカな男どもが悪さをするかもしれないね。
        可愛いラプンツェルを守ってやらねば……」

ラプンツェル 「あーっ、おばあちゃんいいなあ台詞あって」

ゴーテル   「もう少しお待ち、出番はすぐだよ」

王子     「一番喋っているのは君だよスウィートハート。
        気付かないお茶目なところも可愛いね」

ラプンツェル 「……ったく」

王子     「いで! いでででででででで!!!!!!」

ゴーテル   「おやめ、ラプンツェル。はしたないよ」

ラプンツェル 「はーい」

王子     「くっ……ジーザス!」

語り手    「ゴーテルはラプンツェルを守るため、森の中の塔の上にラプンツェルを連れて行き、
        入り口を塞いでしまいました」

ラプンツェル 「ちょっと待って!」

ゴーテル   「あと少しで出番じゃないか。どうして堪え性がないんだろうねぇ」

ラプンツェル 「なんで塔に閉じ込めちゃうの?」

ゴーテル   「悪い男からお前を守る為だって言ったじゃないか」

ラプンツェル 「だって塔の上だよ!? 常識的に考えてよ!
        12歳の子どもを監禁って……どう考えたってありえないでしょ!」

ゴーテル   「そ、それはあれだよ……えっと……ちょ、ちょっと引っ越しただけさ。
        食事だってあたしはちゃんと持ってくるし! ねえ語り手さん!!」

語り手    「そ、そうですね。
        塔の上にある窓の杭にお下げ髪をくくり下に垂らせば、
        髪を支えに塔をのぼり、食事を運んだりできます」

ゴーテル   「そうだよ。
        あー ラプンツェル、ラプンツェルや。
        お前の長く美しい髪をたらしておくれ! ってね!」

語り手    「そういう設定なんです、はい」

王子     「ねぇラプンツェル。君のお風呂やトイレはどうしたんだろう?
        塔の上に井戸があるわけじゃないだろうし……」

ラプンツェル 「あんたにしてはまともなこと言うじゃないの」

王子     「ありがとう、マイラブ!」

ラプンツェル 「12の娘を不衛生な状態にしておくなんて完璧育児放棄だと思うんだけど!」

ゴーテル   「ええっ!?」

王子     「ネグレクト……! 嗚呼、何てかわいそうなラプンツェル!」

ラプンツェル 「ねえおばあちゃん、どうしてそんなことするのおおおお!?」

ゴーテル   「あ、ああ。ああああああああ雨水!
        雨水があるからね。飲む分も、身体を拭いたりする分も困らないさ。
        と、トイレは……そこは童話なんだからはぶいたっていいだろう!」

語り手    「少女漫画とアイドルに共通する暗黙の了解みたいなものですね」

ラプンツェル 「ふーん……」

語り手    「と、いうことでぇ!!!
        ラプンツェルはゴーテルの言うとおり、
        塔での暮らしを受け入れ、数年が過ぎました」

ラプンツェル 「受け入れただなんてとんでもないわ。
        今まであんなに優しかったおばあちゃんが、どうして私を閉じ込めるの。
        嗚呼外に出たい! 外に出てのびのびと過ごしたい!
        私は自分の抜けた髪の毛をとっておき、数年の間ため続けました。
        そして、その髪の毛をロープのように編みあげ、ある日ついに脱出したのです!」

語り手    「ちょっと待ったあああああ!
        勝手に話を変えないで下さいよ!!」

ラプンツェル 「え?」

語り手    「大体勝手に脱出なんかしちゃったら、
        このあと王子があらわれてラブっぽいことになったりするのが、
        全部なくなっちゃうじゃないですか!!!!」

王子     「それは由々しきこと!
        おお、ラプンツェル、君と出会えない人生なんて僕には考えられないよ!」

ラプンツェル 「だったら今すぐ人生に終止符を打て!」

王子     「ノン!!!!」

ゴーテル   「いやー、これでいいんじゃないかい?」

語り手    「ええっ!? ちょっと何をおっしゃるんです!」

ゴーテル   「あたしはラプンツェルが幸せならそれでいいんだ。
        大体この話のままじゃあ、あたしは娘を守ってるつもりでいたものの、
        まんまと歌声で男を誘い込み、毎晩あんなことやこんなことを繰り広げた挙句、
        『ねぇおばあちゃん、私最近服がきついの』って膨らんだお腹を見せられるんだろ!
        あたしゃそんなの見たくないからね!!」

語り手    「あああああああなんてことをおおおお!!!!!
        それは初版のお話ですよ!」

王子     「しょはん?」

語り手    「童話にならないじゃないですか!
        ラプンツェルがとんでもないビッチだったなんて言ったら!」

ラプンツェル 「なっ……!?
        ひっどおおおおおい!!! だあああれがビッチだっつーのよ!!!!」

語り手    「うわあああっ、すみません、口がすべって!」

ラプンツェル 「口がすべっただぁ!? こんのやろおおおお!!!!!」

語り手    「あああああああああああっ、いたいいたいいたいいたいいいいいい」

王子     「おやめよラプンツェル。語り手の言い分とやらを聞いてあげようじゃないか」

ラプンツェル 「ったく、失礼な男ばっかりでやんなっちゃう!」

語り手    「申し訳ございませんーー……。
        えーと、なんでしたっけ? あ、そうそう、初版の話でしたね!
        ラプンツェルというお話はグリム童話なんですが、
        お察しのとおり、グリム童話、もともとのお話はとても子供向けとは思えないものばかり。
        ラプンツェルも例外ではございませんでした。
        初版では、その、実に奔放な女性であるとの描写がありましてですね……」

ゴーテル   「いやいや子供向けに直されたバージョンだってひどいもんさ。
        妊娠こそしないものの、王子と逢引して、あたしに歯向かうんだからね。
        ラプンツェルや、ちょっとこの台詞を言ってごらん」

ラプンツェル 「えーっとどれどれ?
        『おばあちゃんはどうしてこんなに重いの?
         王子様はすぐに登ってきてくれるのに』
        ……え。こんなことほんとに言うの? ばかじゃない!?」

ゴーテル   「手塩にかけて育てたって、こんなものさ。
        育児ってのは難しいねホント! 悲しいったらありゃしない!」

ラプンツェル 「おばあちゃん。私は男に騙されたりなんかしないわよ!
        だから、塔からは逃げちゃうけど、私を信じて!
        おばあちゃんに毒吐いたりしないから!」

ゴーテル   「そうかい。わかったよ、ラプンツェル。
        お前を信じるからね、好きなように生きるがいいさ」

ラプンツェル 「ありがとう!
        んー……これからどうしようかなーっ」

語り手    「いや、あの、話がまとまったところ申し訳ないんですが、
        そうなりますとほんと物語続きませんし、王子も出てきませんし、
        わたくしも困ってしまうんですけど……」

王子     「申し訳ないと思うのならこのままにしてあげればいいじゃないか。
        ラプンツェルとおばあ様の感動のシーンなんだから」

語り手    「ではこれで大団円、幕引きいたしますか?」

王子     「ノン! それじゃあ僕とラプンツェルが出会えないじゃないか!」

語り手    「だから話を戻したいんですけども」

王子     「そ、そうだねぇ。うーん、どうしよう……」

ゴーテル   「そこのバカ王子。
        話を本筋に戻したいのかもしれないけど、もしそうなればお前さんは破滅だよ」

王子     「破滅!? なぜです!」

語り手    「えー、では少し本来のお話に戻ってみましょうか。
        王子は愛するラプンツェルと結婚しようと、
        自分の国に連れて帰るべく、塔から逃がす方法を考え、
        ついに実行しようといたします。が。
        ラプンツェルはすでにゴーテルによって世界の果ての荒野に置き去りにされたあとでした」

王子     「ラプンツェル! 愛しいラプンツェルや! 迎えに来たよ!
        お前の長く美しい髪をたらしておくれ!!」

語り手    「ラプンツェルの髪を切り落としていた魔女は、その髪をつかって王子を塔の上に招きます」

王子     「お前は誰だ! ラプンツェルをどうした!」

ゴーテル   「ラプンツェルをたぶらかした悪い男をこのあたしが許すと思ってるのかい?
        お前の愛しいラプンツェルは、世界の果ての荒野に置き去りにしてきたよ!
        今頃くたばってるんじゃないかねぇ!」

王子     「なんということだ……
        ラプンツェルのいない人生なんて考えられない……!
        悲しくて胸が張り裂けてしまいそうだ!!!!
        ジーザス! なぜ僕から光を奪ったのです!?
        僕はもう、生きてはいけないッッ!」

ゴーテル   「そうそう、まさにそれさ」

王子     「え?」

ゴーテル   「あんたはショックのあまり塔から落ちて、下の茨が目にささって失明するんだよ」

王子     「目が、見えなくなってしまうと!?」

語り手    「あー、そうですね、そうなりますね本来は」

王子     「さぁ、新しいラプンツェルの物語を進めようか!」

語り手    「えっ、いいんですか、このままで?」

王子     「僕は彼女と出会えるのなら、本来の物語でなくとも構わないよ。
        僕は仮にも一国の王子。
        度量が狭くては務まらないからね!」

ゴーテル   「ただの臆病じゃないか」

王子     「そ、そんなことはない!」

ラプンツェル 「よーーっし、これでいくわよ!
        ちょっと語り手さん、この通り物語を進めてちょうだい。新しい台本よ!」

語り手    「なんと! しばらく黙ってると思ったら台本書いてたんですか?!」

ラプンツェル 「これは私の物語なの! 私の好きなようにやるわ!」

王子     「さすがだよラプンツェル! 君が輝きすぎて、まぶしいくらいだ!」

ゴーテル   「聞かせておくれラプンツェル。
        塔を抜け出したお前は一体どうするんだい」

ラプンツェル 「ほら、さっさと読みなさいよ」

語り手    「は、はい。
        えー、塔に閉じ込められたラプンツェルでしたが、数年かけてやっと脱出。
        しかし、数年のブランクは激しく、森の中で迷子になってしまうのです……」

ラプンツェル 「どうしよう。もうすぐ夜になってしまうわ。
        お腹もすいたし……」

語り手    「すると森の奥に微かに明かりが見えてきました」

ラプンツェル 「家があるわ!」

語り手    「走って行ったその先には美味しそうなお菓子の家がありました」

ラプンツェル 「まぁ美味しそう! いっただっきまーす!!」

王子     「ストーップ!!!!!!!」

ラプンツェル 「何よ。いい感じに進んでたのに」

王子     「ラプンツェル。お菓子の家が出てくるのは『ヘンゼルとグレーテル』じゃないか!」

ラプンツェル 「ちょっと設定を借りたのよ」

王子     「王子の出てこない話をチョイスするなんてひどいじゃないか!!
        僕に出逢えなくてもいいって言うのかい!?」

ラプンツェル 「せいせいするけど」

王子     「ひどい!!!!!」

語り手    「ああっ、王子しっかりなさってください!」

ゴーテル   「でもラプンツェルや、このあとお菓子の家からは魔女が出てくるはずだろう。
        必然的にあたしってことになるんじゃないかい……?」

ラプンツェル 「ええ! さあ、これがおばあちゃんの台詞よ」

ゴーテル   「誰だいあたしの家をぽりぽり食べているのは!」

ラプンツェル 「ごめんなさい! 私とってもお腹がすいていて……」

ゴーテル   「ラプンツェル!? お前、どうしてここに!」

ラプンツェル 「おばあちゃん!? えっ……ここ、どうして? おばあちゃん引越ししたの!?」

ゴーテル   「実はそうなんだよ。
        お前と一緒に安全に暮らす為に、このお菓子の家を作っていたんだ。
        何年もあんな狭い塔に閉じ込めて悪かったよ。
        これからはここで仲良く暮らそうね」

ラプンツェル 「っ……おばあちゃん!!!!」

王子     「♪えんだああああああああああああいやあああああああああああいうぃるおーるうぇいず
        らびゅううううううううううううううううううううううう♪」
        (Whitney Houston - I Will Always Love You サビを高らかに歌う)

ラプンツェル 「パチパチパチパチー!(口で言っても、拍手してもどちらでもいいです)
        ほらー! めでたしめでたし、完璧でしょ!?」

王子     「めでたしめでたしじゃなあああああああああああああい!!!!」

ラプンツェル 「ちょっとバカ王子、ラストに歌わせてあげてるっていうのに何が不満なの!?」

王子     「ぼっ僕は君と出会うために生まれたんだあああっ!
        なのになんでっ、僕の出番がラストに歌うだけだなんてっ!!!
        どうしてこんなひどいことっうあああああん!!!」

語り手    「王子ッ、そんな泣き崩れないで下さい! みっともないですから!」

ゴーテル   「語り手さんにまでみっともないって言われちゃおしまいだよあんた。
        しっかりしなさいな」

ラプンツェル 「マジひくわ。キモすぎ」

ゴーテル   「王子とはいえ、こんな情けない男に可愛いお前をやれるもんかね。
        よかったお前が騙されなくて」

ラプンツェル 「大丈夫、私そこまでバカじゃないから!」

ゴーテル   「うんうん、お前は本当に自慢の娘だよ」

ラプンツェル 「私ってきっと文才があると思うの。
        これを活かして人生を切り開いて見せるわ、男なんかに頼らないで!」

ゴーテル   「うん、それがいいね。男はろくなもんじゃないさ」

ラプンツェル 「ほんとそうよね!!!」

語り手    「……こ、こうして、物語は幕を閉じるのでありました。
        めでたしーめでたしー……」

王子     「こんなのってないよおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」











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