Begonia Lovers −ハロウィンの悪戯−

作:早川ふう / 所要時間 10分 / 比率 2:0

利用規約はこちら。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。2013.11.01.


【登場人物紹介】

遥斗(はると)
  年齢は20代前半。可愛い容姿等とは裏腹に肉食系ドSなタチ。昔は結構遊んだ悪い男だった。
  大貴と出会い一途な男に大変身! 同棲して甲斐甲斐しく世話を焼いたりもしている。一応学生。

大貴(だいき)
  年齢は20代後半。カッコイイ容姿をしているが、実は草食系で、恋愛にも流行にも疎い。
  遥斗と出会い色々と目覚めてしまったネコ。一応真面目な会社員。


【配役表】

遥斗・・・
大貴・・・



遥斗   「ただいま〜」

大貴   「おかえり。珍しいな、俺より帰りが遅いとか」

遥斗   「ごめーん、ちょっと課題やってたら長くなっちゃって」

大貴   「そっか、お疲れ様」

遥斗   「ありがと。大ちゃんも、お疲れ様っ」

大貴   「おう」

遥斗   「ってことでぇ」

大貴   「ん?」

遥斗   「トリックオアトリート!」

大貴   「……は?」

遥斗   「だぁかぁらぁ、トリックオアトリート!」

大貴   「なんで、いきなりハロウィン……?
      遥斗ってカトリックだっけ?」

遥斗   「違うけどー、こういうイベントってわくわくするじゃん?
      部屋だってちょっとキャンドル飾ったり、ドクロ置いてみたりしてさ!
      かぼちゃのスイーツとかも食べたいじゃーん!」

大貴   「まぁ、甘いものが好きな遥斗にとっては、いいイベントだろうな」

遥斗   「そうなの!
      だから大ちゃん、トリックオアトリート!」

大貴   「……はぁ。ま、想定内」

遥斗   「え? なになに想定内って?」

大貴   「トリックオアトリートって、アレだろ?
      お菓子くれなきゃ悪戯するぞ、ってやつだろ?」

遥斗   「そそ! 大ちゃん知ってるんじゃーん!」

大貴   「その程度の知識しかないけどな」

遥斗   「僕だって起源がどーのとかは知らないもーん。
      季節のイベントだよ、楽しまなきゃ損じゃん? それだけそれだけっ」

大貴   「まぁ、気持ちはわかるけど……」

遥斗   「けど……? なーにー?」

大貴   「つまりは、そういうことなんだよな?」

遥斗   「そういうことって〜?」

大貴   「いくら俺でもそれはわかるぞ。狙ってるだろ」

遥斗   「え〜〜っ? なにが〜?」

大貴   「俺が甘いもの得意じゃないのは、遥斗が一番よく知ってるだろ」

遥斗   「まぁ知ってるけどぉ」

大貴   「で、その俺に、敢えてトリックオアトリートと言うってことは、だ」

遥斗   「むぅ……」

大貴   「つまりは、俺がお菓子を用意してないと思って、悪戯する気満々なんだろ?」

遥斗   「あははー! バレちゃってたのかー残念ー!」

大貴   「と、言いつつも、残念がってないだろ」

遥斗   「あれっ、今日の大ちゃん、すっごく鋭い」

大貴   「いつもが鈍いみたいな言い方するなよ」

遥斗   「鈍いとは思わないけど、純粋じゃん。だからこういう打算にも気付かないと思ってたのに」

大貴   「……打算、なのか?」

遥斗   「打算、って言葉が悪いかなっ。
      大ちゃんといちゃいちゃしたいのはホントだよ?」

大貴   「……うん、まぁ、それなら、いいんだけど」

遥斗   「ごめん、不安にさせちゃった?」

大貴   「大丈夫。……信じてるし」

遥斗   「もぉ、可愛いなあ大ちゃんはっ」

大貴   「かわいくねーし」

遥斗   「そ・れ・で。可愛い可愛い大ちゃん?
      トリックオアトリート、大ちゃんのコタエは?」

大貴   「……ゴホン!
      ……プリンは、お菓子だよな?」

遥斗   「え?」

大貴   「かぼちゃのプリン。この時期限定だから、買ってきたんだけど」

遥斗   「プリン?」

大貴   「遥斗が好きそうだなと思ったから……」

遥斗   「あぁっ! ここのお店の美味しいよねーーーっ!!
      限定モノまだチェックしてなかったから嬉しい!!」

大貴   「嬉しいか?」

遥斗   「うん! 早速食べるー!」

大貴   「そ、そっか。……(ぼそっと)やっぱ買ってこなきゃよかったかな……」

遥斗   「え?」

大貴   「……いや、別にっ! なんでもないっ」

遥斗   「……大ちゃん今……」

大貴   「なんでもないって言ってる!!!!」

遥斗   「もしかして、大ちゃん……、僕が残念がるの期待してた?」

大貴   「うっっっ!!! そ、そ、そんなことはっ」

遥斗   「大ちゃんどこでそんなあざといことを覚えてきたの!?」

大貴   「ちがっ! そうじゃなくて!!
      てか……やっぱり、あ、あざとかったか?」

遥斗   「ふっ、あはは、不安になるくらいならしなきゃいいのにー」

大貴   「だって……」

遥斗   「可愛いなあもうっ。だから好きなんだよ」

大貴   「うっ、よくわかんねーよその理屈……」

遥斗   「わかんなくていーのっ、大ちゃんはわかっちゃだーめっ」

大貴   「なんだよそれ」

遥斗   「……僕、愛されてるねっ」

大貴   「あたりまえだろ」

遥斗   「ふっふっふー、嬉しいなー」

大貴   「プリン今食う? ご飯前だけど」

遥斗   「うん、食べるっ。大ちゃんも一緒に食べるでしょ?」

大貴   「いや、俺は、遥斗から一口もらえばそれでいいから。
      俺の分は買ってこなかったんだ」

遥斗   「あ、そうなの?
      僕だけ食べるってのもなぁ〜」

大貴   「あ、そっか。ごめん、それは気ぃ遣うか?」

遥斗   「んーん、だいじょぶ」

大貴   「俺こういうところがダメなんだよなあ……」

遥斗   「そんなことないよ? だって、あーーーんってできるじゃん?」

大貴   「いやそれは……」

遥斗   「って恥ずかしがってるけど、結局食べてくれるもんね〜?」

大貴   「う」

遥斗   「食べてくれるよね?」

大貴   「……そりゃあ、まぁ、遥斗だし」

遥斗   「だーよねっ! ……あ!」

大貴   「どうした?」

遥斗   「……そっかぁその手があるじゃん!」

大貴   「ん? その手?」

遥斗   「僕ってあったまいい!!!」

大貴   「なんだよ一体」

遥斗   「大ちゃん、トリックオアトリートだよ!」

大貴   「は? ……だから、プリンって……」

遥斗   「ちっがーうー! 僕じゃなくて、大ちゃんが言うの!」

大貴   「俺が!?」

遥斗   「うん!!」

大貴   「え……? どういうことだよ……」

遥斗   「だからぁ、大ちゃんが言うの、トリックオアトリートって。
      はいほら言って! さんはいっ」

大貴   「え? え?」

遥斗   「言うのーーーーーー!!!!! さんはいっ!!!!」

大貴   「トリックオアトリート…………?」

遥斗   「え〜〜〜〜っ! 僕お菓子持ってなぁい。
      じゃあ、じゃあ、悪戯、してくださいっ」

大貴   「はあ!?」

遥斗   「ほらぁ、悪戯! 早くぅ〜」

大貴   「おいちょっとまて。そんな、悪戯って……何すればいいんだよ!?」

遥斗   「んー、いつも僕が大ちゃんにしてるようなコト?」

大貴   「遥斗が俺にしているようなコト?」

遥斗   「そ。……簡単デショ?」

大貴   「……かんたん? ……いやいやいやいや無理だろ!!!!」

遥斗   「えーそう?」

大貴   「だからつまり、ああいうことをするってことだろ!? ……できるか!!!」

遥斗   「ああいうことって〜? なぁに〜?」

大貴   「ああいうことってのは……つまり、そのっ」

遥斗   「つまり? その? なにかなぁ?」

大貴   「ぅ……う……だからぁ……」

遥斗   「……だから?」

大貴   「……っ、ギブ、無理……勘弁して……」

遥斗   「んふふ。やっぱ大ちゃんかーーーわいいっ!!!」

大貴   「……もー、やめろよな、そんなん」

遥斗   「可愛いからいじめたくなっちゃうの。しょうがないじゃん、男の性(さが)だよっ」

大貴   「わかんねーよそんなん……」

遥斗   「いじめられるのキライ?」

大貴   「……」

遥斗   「キライじゃないよね? 知ってるよ?」

大貴   「遥斗なら、いいけど……けど、いじめられすぎるとへこむぞ」

遥斗   「知ってる」

大貴   「あと、照れて困ったりもする」

遥斗   「知ってる」

大貴   「なら、いい」

遥斗   「うんっ。だーーーいすきだよっ、大ちゃん」

大貴   「うん……俺も、好き」

遥斗   「ふふ。じゃあ、お詫びと言ってはなんだけどぉ」

大貴   「ん?」

遥斗   「Trick and Treat!」(わざと流暢に)

大貴   「だからさっきかぼちゃのプリンがあるって」

遥斗   「フフッ……英語はちゃーーーんと聴かないとだめだよ、大ちゃん」

大貴   「え?」

遥斗   「トリックアンドトリート、意味は、お菓子くれたら悪戯する、だよ?

大貴   「お菓子くれたら、ってことは……」

遥斗   「プリンくれたから悪戯してあげるよ」

大貴   「ちょ、おい遥斗っ」

遥斗   「ベッドいこっか? それともここでしちゃうー?」

大貴   「待て待て落ち着け!!! プリンはやらん! あれは俺が食う!!!!」

遥斗   「じゃあ、トリックオアトリート! くれなきゃ悪戯するよ?」

大貴   「おいそれじゃあどうすればいいんだっ!
      明日会議があって早いんだ! 今日はちょっと勘弁……」

遥斗   「勘弁するわけないでしょ?
      これは僕を試そうとした罰なの。
      いーーーっぱい悪戯してあげるからね……」







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